noteの企画者集団を率いるリーダーが語る、創作支援の「これまで」と「これから」
10周年を迎えたnoteは、さらなる成長のために積極的に採用活動を行っています。
Organization Successグループ(人事・労務部門)の責任者・中西麻子が各グループ長にインタビューする本シリーズ。今回登場するのは、noteの企画者集団プラットフォーム企画グループを率いる三原琴実さんです。
三原さんはnoteがスタートした当初からディレクターとして活躍し、クリエイターとの関係構築やコラボレーション企画の立案などを通して、noteの成長を支えてきました。加えて、クリエイターの創作活動への支援と作品のポテンシャルを最大限に引き出す新規事業の推進を目的とした、noteの100%子会社Tales & Co.株式会社のメンバーでもあります。
本記事では、noteのディレクターが担っている役割や、目標達成のためにどのような人材を求めているのかを伺います。
CEOがワクワクしながら語った「noteのプロトタイプ」
——三原さんがnoteを知ったきっかけは何でしたか?
三原さん 前職時代に、株式会社ピースオブケイク(note株式会社の前身)と仕事でお付き合いがあり、代表取締役CEOの加藤さんとは顔見知りだったんです。
ある日オフィスに伺ったら、ちょうどnoteのプロトタイプ(試作モデル)ができていて、加藤さんがとてもワクワクしながら話していたのが印象的でした。そのときはnoteにお誘いいただくような話はありませんでしたが、noteというプロダクトに興味を持つきっかけになりましたね。
私は当時クラウドファンディングサービスを運営していて、すでにCtoC向けサービスに触れていたこともあり、最初はコンテンツをCtoCで販売するサービスに目新しさはないと思っていました。
しかし同社はコンテンツ配信サイト「cakes(ケイクス)」を運営していたため、すでに多くのクリエイターを抱えていたんです。そのような企業がつくったプロダクトなら、より良いコンテンツが流通する仕組みになるんじゃないか、とすぐに考えを改めました。
——どのような理由から入社を決めたんですか?
三原さん クラウドファンディングは、すでにあるプロジェクトやプロダクトに対してお金を集めるサービスです。対してnoteは、クリエイターの作品づくりの過程に幅広く関わり伴走できるサービス。どちらも創作をサポートする、やりがいのある仕事ですが、徐々にnoteのような「ものづくり」の本質にたずさわれるサービスをやりたいという想いが強くなってきました。
加藤さんにnoteのディレクターをやらないかと誘われたことが後押しとなり、プロトタイプを見せてもらってから3ヶ月後には入社を決めました。
企画立案からプロジェクトマネジメントまで。「noteディレクター」の役割とは?
—— noteにおける「ディレクター」の役割や業務内容を教えてください。
三原さん noteディレクターの業務は多岐にわたり、企画立案、プロジェクトマネジメント、Webディレクションなどを担っています。
例えば、ブランドソリューション(ブランドの世界観を通じたマーケティング支援)チームと協力してコンテストを企画立案したり、イベントの企画運営から司会までを務めたり、クリエイターとコミュニケーションをとったりなど、いろいろなことにたずさわります。プロジェクトごとに必要なスキルを使い分けながら仕事をしている感じですね。
いずれにしても、クリエイターに寄り添ってそれぞれの成功体験につなげたり、創作の総量を増やしたりしてnoteを盛り上げることが仕事です。
——特に印象に残ったチャレンジングな経験は何ですか?
三原さん やってきたことすべてがチャレンジングで(笑)。
私はこれまで0→1での企画立ち上げを多く手がけてきました。例えば、テレビ東京さんとの「#テレ東シナリオコンテスト」や、幻冬舎さん、テレビ東京さんとの「コミックエッセイ大賞」など、メディアとコラボした投稿企画などがそうです。
また、企業とコラボする投稿企画の先駆けとなった味の素冷凍食品さんとのコンテスト「チャーハン大賞」や、オンライン/オフラインを交えてクリエイターと一緒に創作活動を盛り上げる「クリエイターフェス」の立ち上げなどもやっています。
このように新規で企画を立ち上げたのち、メンバーと一緒に企画を大きくすることをしていますね。
ディレクター業務以外のチャレンジでは、CEO加藤さんから企画の採否判断の権限委譲を受けてディレクターを集めた「プラットフォーム企画グループ」をつくったり、今年は子会社 Tales & Co. の設立にたずさわり会社運営をしています。
——ディレクターとして企画を進めるなかで、大変だったことはありますか?
三原さん めちゃくちゃありますよ!例えば最初のころは、コンテスト企画を立ち上げたけれど、審査にどのくらいリソースがかかるのか正確に見積もれていなかったうえに、業務を頼めるスタッフもいなかったので、全部自分でやる、みたいなことはよくありました。
結局自分で運用してみないと、仕様の不具合や必要な工程・工数などの実務に関する正しい判断ができないんですよね。こういう大変な経験も必要なことだと思っています。
——これまでの経験から得られた、企画立案で大切なポイントは何ですか?
三原さん いろいろなやり方があると思いますが、noteのようなプラットフォームでは、企画のターゲットの解像度を上げることが大切だと考えています。なぜならnoteは、多種多様なひとが思いおもいに活動する「創作の街」だから。そして、限られたリソースで企画による効果を最大化するためには、ターゲットの設定とターゲット像の理解がとても大事だからです。
したがって企画を立てるときは、さまざまな趣味・指向や属性を持つnoteの住人を十把一絡げにするのではなく、目を凝らし、どのようなひとが、どのような企画なら興味を持つのか、どのような言葉が響くのかを深く考察してから「コアターゲット」に据えています。社内での企画書フォーマットの一番上に「コアターゲット」を記入する欄を置いているほど重要なことなんですよ。
最近はありがたいことに、企業とnoteで共同開催する「コラボコンテスト(※)」も増え、さらにターゲットの設定が大事だと実感しています。ひとつの企画に関わるステークホルダーが増えることで、それぞれの目的を叶えることが難しいシチュエーションがありますが、私は、きちんと設計すれば「三方よし」の企画が成立すると信じています。
※コラボコンテスト:企業のブランドパーパスやメッセージをもとにテーマを設定し、noteクリエイターに参考作品を執筆していただいたのち、一般クリエイターに参加してもらう投稿企画。
三原さん コラボコンテストは、参考作品を提供していただいたクリエイターにとっては、お仕事としての収入に加えてたくさんの人に知っていただく機会につながりますし、一般クリエイターは書きやすいテーマが提供されて投稿のハードルが下がるというメリットがあります。noteならではのやり方で実施できているんじゃないかなと思います。
——そのような「三方よし」の企画を実現するために、ディレクターとして特に意識していることはありますか?
三原さん 私はディレクター業務には“agree to disagree.(考えの違いを認める)”の姿勢が大事だと思っています。
自分と意見が違っていても、まずは相手の意見を尊重する。自分が納得するまでとことん話し合い、仕事の意義を見出す。前向きに取り組む姿勢を見せる。そして、事業や会社にとって必要なことを冷静にフラットに判断する。
これはクリエイターやビジネスパートナー、メディアなどとやり取りした経験から学んだことですし、プラットフォーム運営だけでなく組織のなかでも、とても重要な視点だと考えています。
3つのチームでクリエイターをサポート
——三原さんが統括しているプラットフォーム企画グループの体制について教えてください。
三原さん ディレクターが所属するプラットフォーム企画グループは、コミュニティ企画、クリエイター企画、公共教育の3つに分かれています。
コミュニティ企画チームは、noteの利用者を増やすために、さまざまなコミュニティやメディアと連携して企画を立て実行しています。
例えば、あらゆるジャンルの作品を対象にした日本最大級の創作コンテスト「創作大賞」や、noteが提案したお題に沿って記事を投稿する「お題企画」といったものですね。最近は、フォトコンテストや旅行メディアと共催している旅レポの投稿企画が盛り上がっていました。また今年は、文学作品の展示即売会「文学フリマ」へのスポンサードも決まっています。
クリエイター企画チームは、noteで収益を上げられるクリエイターを増やすことを目的に、クリエイターとコミュニケーションを通して、新規クリエイター誘致や既存クリエイターへの売上のアップセル施策の提案をしています。このチームの成果もあり、いまnoteのサブスク「メンバーシップ」や「定期購読マガジン」を利用される方もとても増えています。
公共教育チームは、自治体や教育機関と連携して、公共・教育領域の情報発信のデジタル化に取り組んでいます。クリエイターとのつながりを大事にする点はほかのチームと同じですが、特定の領域に特化しているのが特徴ですね。
たとえば岩手県では教育委員会が推進して全県立高校がnoteでの発信を行っています。これらの施策を通じて社会のインフラとなれるようnoteを盛り上げる役割を担っています。
——組織マネジメントでは、どんなことを意識していますか?
三原さん 組織マネジメントは子育て本で学びました(笑)。なかでも『TRICK スティーブ・ジョブズを教えYouTube CEOを育てたシリコンバレーのゴッドマザーによる世界一の教育法』(文藝春秋 刊)はすごく参考にして、メンバーを信頼、尊重し、困ったときには手を差し伸べるというスタンスを取っています。
ディレクターのような企画職は「自分はこういうことをやりたい」という意思をしっかり持っているメンバーが多いんです。ですから、個人の意思と会社の戦略が重なるところを見つけて、各自の成果を最大化させるよう意識していますね。
そのためにメンバーと会話を積み重ね、経営の思想や会社として目指していることを繰り返し伝えて、目線をすり合わせるようにしています。
——プラットフォーム企画グループが目指していることは何でしょう?
三原さん より多くの創作がnoteから生まれることです。私自身、クリエイティブなものや文化的なものが好きなので、そういったものの総量を増やしたい。目指しているものはまだ高く、大きいですが、noteによって生み出される創作はもっと増えると信じています。
また、事業成長にも積極的にコミットしたいと考えています。
昨今、さまざまなメディアや配信プラットフォームで、文字原作が不足しているという課題があります。noteでもクリエイターが活躍する場のバリエーションをさらに増やしていきたいという想いがあり、メディアミックス作品の原作にもたずさわっていきたいと考えています。
そのためにTales & Co. を設立しました。さまざまなパートナーと協力し、noteに集まる多くのクリエイターの更なる活躍の場を広げていきたいです。
あなたもnoteで“おもしろいこと”を育ててみませんか?
——プラットフォーム企画グループでは、どのような人材を求めていますか?
三原さん 世の中のおもしろいものを増やし、広めていきたいと思っている方ですね。出版業界でも映像業界でもWebメディアでも制作会社でも、ジャンルは問いませんが何かしらのメディアで企画や編集業務に携わりクリエイターと直接コミュニケーションをとったことがあると嬉しいです。友人にクリエイターがいる、というケースでも構いません。
そしてゴールに向かって、会社のリソースをうまく活用しながら一緒に協力体制を敷けるひとが望ましいですね。
自分がやりたいことよりも、クリエイターの成功体験や企画の立ち上げを優先できる姿勢が大切だと考えています。ある程度のスキルは必要ですが、それ以上にスタンス面を重視しています。
——ディレクターにはどのようなスキルや資質が必要なのでしょうか?
三原さん 企画立案やプロジェクトマネジメント、Webディレクションなどの能力に加えて、クリエイターとのコミュニケーション能力も必要です。自ら率先してクリエイターを知ろう、企画を練ろうと、積極性のある方が向いているかもしれません。
また、アウトプットの形式も書籍や記事などに固定していないので、柔軟な発想力も求められます。
——三原さんはディレクター、グループリーダー、新会社のメンバーと三足の草鞋を履きながら、子育てもしています。子育てと仕事の両立についても教えてください。
三原さん noteでは、自分が働きたいと思えば仕事の制限はされません。子どもの送迎などの理由で早めに退勤する場合も、みんなカレンダーで当該時間帯をブロックしておくなど工夫しています。私は2回、産休と育休を取得しましたが、いわゆるマミートラック(出産を機に昇進が止まること)はありませんでした。
私自身、ベビーシッター補助の導入を会社に提言するなど、子育て世代が働きやすい環境づくりに積極的に関わってきました。子どもがいる、いないに関わらず、自分の働き方に合ったかたちで仕事ができる環境だと思います。
——最後に、ディレクターを志望するひとへのメッセージをお願いします。
三原さん いまnoteは、新規事業の立ち上げや子会社での展開など、手を挙げればいろんなことにチャレンジできる環境があります。自分の手で世の中をおもしろくしたいと思っている方、ご応募お待ちしています。
——noteはいま、プラットフォームとして飛躍のとき。引き続きディレクター自身のクリエイティビティを存分に発揮してほしいです!ありがとうございました。
まとめ
今回のインタビューを通して、サービスがスタートしてからの10年間、先頭に立ってnoteの成長を牽引し続けてきた三原さんの「より多くの創作がnoteから生まれるようにしたい」という熱い想いが伝わってきました。そして、メディアプラットフォームとしてのnoteの新たなチャレンジに、私自身もワクワクしています。
noteでおもしろいことをしたい、と興味を持ってくださった方、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう!
【プラットフォーム企画グループで募集中の職種】
・クリエイターセールス企画
・エンターテインメントコンテンツ企画編集
・コミュニティ企画
ほかの職種にもご興味がありましたら、こちらもご覧ください。
interviewed by 中西麻子 Text and Photo by 本多いずみ