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ピースオブケイク、ミッション・ビジョン・バリューの誕生、そして改定のウラ側

2019年12月8日、noteを運営するピースオブケイクは9年目を迎えました。

それに先んじて改定されたのが、わたしたちの「ミッション・ビジョン・バリュー」(以下、MVV)です。

MVVが誕生したのは、2018年の春。

CXO・深津貴之さんが参画したタイミングで、当時の社員全員で会社としてたいせつにしたい価値観や想いを共有。アウトプットのかたちとして産声をあげたのでした。

会社をひとつの大きな船、社員を乗組員だとしたら、MVV、とくにミッションは航路を示す北極星。なぜこのタイミングで改定することになったのでしょうか。

今回の#noteのみんなでは、CEO・加藤貞顕さん、人事・北上愛さん、事業開発・坂本洋史さんにMVV改定のウラ側、そして今後ピ社が進むべき方向性についてうかがいます。話は、採用方針、評価制度にまでおよびました。

バリューとは、ミッションを実現するための行動指針

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ー本題に入る前に教えてほしいのですが、ピースオブケイクにとってMVVはどういうものなのでしょうか。

加藤:ミッションとは「会社がやるべきことを明確化したもの」です。現在の「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」は、かなり明確だと思うんですよね。

noteはよく課金まわりの話が注目されがちですが、ぼくたちがやるべきはそれだけではない。芥川龍之介も、儲けたいから小説を書いていたわけではないと思います。もちろんお金はたいせつだけど、あくまでも続けるための燃料にすぎなかったはず。

現在実施しているnoteのコンテストや出版社やテレビ局とのコラボによる書籍化・映像化も続けるための後押しのひとつ。社員の有志やCXOの深津さんたちとやるべきことを明確して、それらをひとつにまとめたらミッションが生まれました。

バリューは、ミッションを実現するための社員たちの行動指針です。もちろんピラミッド型の組織で、やるべきことをトップダウンで決めていく方法もあるんですが、目指しているのは、チームのそれぞれのメンバーが自律的にはたらく組織。でもそのためには、みんなの価値観のメジャーとなる指針が必要になります。

大枠の価値観としてミッションがあって、みんなが自律的に動くためのガイドラインとしてバリューがあるイメージです。

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ーでは、なぜMVVを改定することに?

加藤:先にお伝えしておくと、そこまで大々的に変更したわけではありません。

具体的な変化としては、「クリエイティブでいこう / Be Creative」「つねにリーダーシップを / Leadership」をバリューへ追加したことです。

当初MVVをつくったとき、会社は25名くらいの規模。ぼく自身の目も行き届いていたし、MVVにはまとめきれない価値観や空気感も共有されていました。

ありがたいことに9年目を迎え、70名弱の規模になると会社としてのステージも変わってくる。すると「コレってこういうものだよね」と、ある程度社内では当たり前とされていた考え方が当たり前じゃなくなります。だから今回は、あえて言わなくてもよかったことをきちんと共有するための改定というのが実態ですね。

なぜバリューを追加したのか

ー「クリエイティブでいこう」と「つねにリーダーシップを」。このふたつの追加にはどういう背景があるのでしょう?

加藤:まず、「クリエイティブ」から説明しますね。

詳細はAboutページにまとめられているんですが、ぼくらが定義する「クリエイティブ」とはどんなに困難に見える課題でも前向きに楽しく解決しようとする姿勢のこと。「クリエイティブ」と聞くと、創作活動と捉えられがちです。もちろん創作活動はクリエイティブなんですが、ぼくらはどんな職種にも通じる態度や姿勢のようなものだと捉えています。

もう少し分解すると、なにか困難に直面したとき「こうきたか!どう解決しようかな?」と向き合えること。そして一番差が出るのは、問題が起きたときの対処方法です。だれかのせいにしたり、環境のせいにしたり、見なかったことにするのはクリエイティブじゃない。

ぼくらのようなベンチャーって、仕組みが整っている大企業と違って問題が起こりまくるんですよ。だからこそ、各人にクリエイティブな態度・姿勢を求めています。「リーダーシップ」に関しては、北上さんに話してもらいましょうか。

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北上:はい。この「リーダーシップ」は役割ではなくて「あらゆることに当事者意識を持って、率先して行動する」心構えや行動を示しています。

わたしは採用も担当しているのですが、ときどきバリューが誤解されている場面に直面します。たとえば「クリエイター視点で考えよう / Creator First」を、単に「クリエイターのことだけを考えていればいい」と思っている。

でも、顧客に届け、収益を生まなければ、クリエイターは創作活動に専念できないわけです。そこで必要になるのが「リーダーシップ」なんですよ。当事者意識を持って、率先して行動する。そして、クリエイターを後押しする。それがわたしたちの存在意義です。

加藤:そう。言葉を選ばずにいうと「この作家さんの大ファンなんです」というだけでは務まらない。好きだけなら、ただのいちファンでいればいい。彼らの影響力を増すための手伝いができるから、ぼくらの存在意義があるわけです。だから「クリエイターが好き」は、必要条件ではありますが、十分条件ではないんです。

ーバリューの順番はどうやって決まったんですか?

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坂本:じつは、バリューの順番にも狙いがあるんですよ。

加藤:そうそう。クリエイターの力で運営している会社なので、「クリエイター視点で考えよう / Creator First」が一番上にあるのは自然ですよね。

で、二番目が「多様性を後押ししよう / Promote Diversity」です。理由は、多様性というのは、クリエイティブの源泉だからです。

過去の創作物って、たいてい少数派から生まれてますよね。少数派が自分の存在理由を世の中にぶつけるために行うのが創作だと思うんです。たとえば学校の教室の真ん中にいるリア充と、隅っこにいる人たち。どちらがより創作をするかというと、後者のほうが多いと思います。でも、別に多数派を否定しているわけじゃない。クリエイティブは少数派が生み出し、多数派が運び広めていくものなので。だからぼくたちは、「多様性」を重視しているんです。

坂本:「クリエイター視点」と「多様性」はどちらかというと心構えですね。三番目の「クリエイティブ」からは少しずつ行動に紐づいています。五番目の「すばやく試そう / Try First」は完全に行動指針ですよね。

加藤:順番が上がっていくにつれ、難易度も上がっていく。六番目の「おおきな視点で考えよう / Think Big」はとても難易度が高いと思います。

2019年11月のnote.muからnote.comへのドメイン変更がわかりやすい例ですね。クリエイターにも一時的には不便を強いるし、開発の工数もかかるから、短期的に見るといいことなんてないんですよ。でも、noteをおおきなプラットフォームにしようと思ったら、やるべきことです。

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坂本:「すばやく試そう」も決して脊髄反射的なことを指しているわけではないんです。短期的な成功を求めるあまり、中長期的に考えたときに失うものが増えてはいけない。

加藤:そういう意味では、「クリエイター視点」と「多様性」は心構え、「すばやく試そう」と「おおきな視点」は行動、「クリエイティブ」と「リーダーシップ」は心構えと行動のハイブリッド。それぞれ2つずつセットで考えられるかもしれませんね。

ピースオブケイクとは、「サバンナ」である

ー今後の組織強化に向けて、社内だけではなく、社外への認知拡大を図っていく必要があると思うのですが、具体的にはどのような取り組みをしているのでしょうか?

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北上:1つは、広報と連携してオンラインで積極的に発信しています。たとえばこの「ピ社のひとびと」でもかならずMVVと絡めた記事にしています。MVVを覚えている方が面接に来たら、ご自身でどのように解釈しているのかを伺うこともありますね。

加藤:MVVを発信しているのには理由があるんです。共感できる人が応募してくれたら嬉しいけど、共感できない人が応募してくれてもお互い不幸になるだけなので。

坂本:事前にnoteで働くメンバーの価値観がわかったほうが採用のミスマッチは減らせると思います。ミッションに共感できて、バリューに関しても違和感なく受け止められる方が応募してくれたら嬉しいですね。

ーもしかしたらバリューを見て「これ全部できなきゃダメなの!?」と思う方もいるかもしれませんが、そのあたりはどうですか?

加藤:そこまでは求めませんね。正直、相当難易度は高いと思うし(笑)。「こういうふうに働きたい」と思えることが大事だと思います。

坂本:そうですね。まずは共感できることがスタートラインです。そのうえでご自身のスキルや実績がMVVと重なるエピソードをお持ちだったら、よりスムーズに仲間になってもらえると思いますね。

ー社内の浸透に関してはいかがでしょう?

加藤:大きく分けてふたつの方法を実施しています。

ひとつ目は日々のコミュニケーション。毎週火曜日の全体会議で、ぼくが全社員に向けていろんなトピックを話すのですが、そのときにかならずMVVに関係したエピソードも話ようにしています。

四半期に一度開かれる「夜会(やかい)」という社員総会でも、MVVに沿ったワークショップを開催しています。直近の回は「クリエイティブ」に関する講義でしたね。それこそ、「クリエイティブとリーダーシップは両立できる」という話をして、それぞれの解釈を共有してもらって、ぼくや深津さんがフィードバックして、理解を深めていく。

参加する側もぼくも大変ではあるんですが、これだけ多くのクリエイターに関わり、たくさんのコンテンツを預かっているぼくらには、彼ら・彼女ら、そして作品を大きく飛躍させる責任がありますから。

ふたつ目が評価制度です。じつは、これまで体系化された評価制度はなかったんです。ぼくが年2回全員と面談して評価をしていました。でも、直近だと全員との面談をやり終えるのに2ヶ月かかったんですよ。この先人数が増えたら、物理的に無理になるなと。ちゃんと部署をつくって、権限を移管するためにも評価制度をつくることにしました。

でも、既存の評価制度にはいまいち納得していなくて。個人が納得し、かつ成長を推進して、さらに会社の成長につながるような制度をゼロからつくることにしました。そこで尽力してくれたのが坂本さんです。

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坂本:わたしは前職がAmazonなんです。現場のマネージャーとして長年にわたって人事制度を運用していましたし、人材開発のプロジェクトマネージャーも経験しています。Amazonは評価制度がかなり考え抜かれていたので、いまのnoteにフィットしそうなところを参考にしました。

さらに、経営層や人事とディスカッションを重ね、評価制度の仕組みがうまくいっている他社へのヒアリングもしながら、ブラッシュアップをして。そうして行きついたのがMVVにもとづいて評価するという制度です。

この評価制度における最大のメリットはマイクロマネジメントをしなくてもいい、されなくていいところです。方向性が明確なので、社員たちが行き先に迷うことはないんですよね。

加藤:こういうふうに、ミッションとかバリューとかに基づいて会社を運営するのは、ともすれば宗教っぽくも見えるかもしれないけど、そういうわけではないんです。このやりかたのほうが、みんなもラクに働けて、成長につながり、会社としても成果も出せると思っているんです。

北上:いま採用基準もMVVに沿ったものにすべく、ディスカッションしている最中ですね。MVVを軸に、採用や評価が少しずつアップデートされています。

ーでは、最後にnoteで活躍できるひとの共通項を教えてください。

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加藤:これはもう、自分の裁量でおもしろいことをしたいひとですね。だれかに仕事内容を決めてもらって、そのとおりに作業して、それが評価されたらうれしい、というひとにはまったく向いていないと思います。

ぼくらは世の中にない新しい仕組み、新しい文化をつくっています。だから、社内から評価されるというよりは、マーケットに評価されるような仕事に喜びを覚えるひとに来てほしいと思います。

ぼくはぜったいにそのほうがおもしろいと思うんですけど、なじまないひともいると思います。そういえば北上さんも、初の人事担当者なので前任者はいないんですよね。

北上:そうなんです。だから指示もなにも受けず、ほとんど放置されてました(笑)。結局、「クリエイティブ」で「リーダーシップ」がないとなにも前に進まないんですよ。でも、楽しすぎましたね。

やりたいこと、やらなきゃいけないことはたくさんあるけれど、優先順位をつけて、とりあえず試してみて、試行錯誤しながらグイグイ引っ張っていく。その感覚がわたしは好きだし、楽しいです。

加藤:そう。だから、べつに間違ってもいいんですよ。間違ったら、違う方法を試せばいい。

坂本:混沌と自由。このふたつって表裏一体なんですよね。混沌としているけど、同時にすごく自由。自由とは、混沌でもある。仕事や職場に自由だけを求めている方は、向いていないかもしれないですね。

加藤サバンナみたいなものですよ。自由はあるけど、下手したらハイエナにヤられる(笑)。「襲われた!ウケるね!」みたいなマインドセットだと一番いいですね。

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ーピースオブケイクという会社、そしてnoteというプロダクトの印象からやわらかくやさしいイメージがありましたが、実態はサバンナと(笑)。でも、確かにお話を聞いていたら、すごく納得ができました。これから同じ志でnoteの歴史を一緒に切り拓いていく仲間が集まることを願っています。ありがとうございました。


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Text and Photo by 田中嘉人

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