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「1→10」が得意なデザイナーは貴重。複数社で活躍するデザイナーが語る、プロダクト成長に欠かせない考え方

専門職を中心に、働き方の選択肢が広がりをみせている昨今。複数社で働くことでよりキャリアを広げたり、組織に新たな視点をもたらしたりと、その可能性は着実に広がっています。

現在noteでは、社員として働くデザイナーに加え、業務委託などのメンバーたちが、それぞれのスキルを活かして事業に貢献。今回は他社でも活躍しながら、noteを支えるプロダクトデザイナー3名に、noteに入って驚いた「ABテスト」にまつわるお話やどんな組織でも活かせる“デザイナーのマインドセット”を語っていただきました。


0→1も大変だが、1→10への成長もむずかしい

——note以外の場でも活躍中のみなさんですが、プロダクトデザイナーに求められるスキルには、どんなものがあると思われますか?

金谷さん 以前、社内の雑談でも盛り上がったのですが、デザイナーで「0(ゼロ)からサービスを立ち上げた経験があります」というひとは多いけれど、「すでにあるサービスを成長させるのが得意です」と話すひとは少ない気がします。

金谷さんの写真

金谷 かなたにさん
新卒でグッドパッチに入社。ソフトウェアデザイナーとしてデザインシステム浸透や開発並走を数多く経験する。noteにはグッドパッチの伴走支援チームの一員としてジョイン。特定のKPIを持たずnoteの継続的なカイゼンを行うチームに所属。最近はnoteアプリのデザインカイゼンにも携わっている。


長谷川さん デザインという仕事自体が、0→1(ゼロイチ)でつくるイメージで、それに憧れている方も多いのではないでしょうか。サクセスストーリーとしても「0から立ち上げました」といった話が、紹介されやすいことも影響しているかもしれません。

ですが、すでにあるサービスをより大きくしていく力こそ、プロダクトデザイナーには必須のスキルではないかと思います。もちろんプロダクトを生みだすのも大変ですが、そのあとに1→10(イチジュウ)へと成長させていくことは大切ですよね。

どちらかというと0→1は、400メートル走を全力で走るイメージで瞬発力に近い。1→10は、結構なスピードで長距離マラソンをするイメージで、それぞれつかう筋肉が違う印象です。

長谷川さんの写真

長谷川 はせがわさん
Web/アプリに特化したデザイナー/コンサルタントとして活動中。組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決する仕事をするなど、チームでデザインに取り組むための提案と実践をしている。noteではデザイン戦略面から実行を支えるアドバイザー。プロジェクトの進行補助とCDOの壁打ち役を担っている。


——そういった意味では、現在さらなる成長を目指す1→10のフェーズにいるnoteですが、働く前と後でイメージは変わりましたか?

河野さん 僕はかなり変わりました。もともとnoteは、上場企業で知名度も高く、サービス開始から10年を迎えた完成されたサービスというイメージでした。さらに、CXOの深津 ふかつさんやCDOの宇野 うのさんもいて、ユーザー体験やデザインに関してレベルの高いチームなので、「いまからあたらしいデザイナーが入ってやることあるのかな?」という印象だったんです。

でもnoteに入ってみると、いい意味でたくさんやることがありました。細かい部分でいうと、クリエイターページのレイアウト改善や検索結果のロジック変更。ほかにもデザインのシステム運用などのプロジェクトも、メンバーが各々でがんばっている部分が多く、まだまだ発展途上。実際のところはスタートアップ感が強く、個々の裁量もありました。

河野さんの写真

河野 こうのさん
1992年生まれ。岡山県出身。
武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業後、Yahoo! JAPAN、FOLIOを経て2019年に独立。現在は東京を拠点に、スマートフォン向けアプリの設計やUIデザイン等に取り組む。noteではUXの向上によってGMVを向上させるチームに所属。


金谷さん 私もnoteで働く前は、同じような印象を抱いていました。しかし、宇野さんなどの経営陣とも距離が非常に近く、デザインのフィードバックも気軽にもらえる環境で、とてもいいギャップがありました。

長谷川さん 僕は、noteに対するイメージは大きく変わっていません。これまでたくさんの会社で仕事をしてきて、なんとなくnoteの企業としてのフェーズは予想できていたので。noteはある程度プロダクトマーケットフィット(サービスや商品が特定の市場に受け入れられていること)をして、さらにだれもがつかうサービス、つまり1→10へと成長させていく段階でしたね。

ただnoteは、10どころかその先、いわば「100」を目指していると思うんです。より多くの方に利用してもらうために施策を考えたり、機能を開発したり、立ち上げ期とは別のマインドセットが必要なんだと、日々実感しています。

定量と定性、2つの顔を持つnote

——これまでさまざまな会社を見てきたみなさんですが、他社とnoteの違いを感じる場面はありますか?

河野さん 僕はデザイン改善によって、クリエイターの有料記事の売上げ向上を目指すチームに所属しているのですが、チームに関していえば、機能のリリースや改善にあたってこれほど詳細にABテストをすることに驚きました。基本的にテストをせずにリリースすることがありません。

金谷さん 私もときどき河野さんが所属しているチームのテストレポートを見ますが、ものすごい量のテストをしているなと驚きます。

河野さん いままで僕は、ABテストとは2つの施策を同時に出して比較するものだと思っていたんです。ですがnoteでは、ある1つの要素を変えたことによって「代わりにどこか別の数値が落ちていないか」や「テスト条件が途中から変わっていないか」など、あらゆる点を考慮しながら同じテストを2、3回繰り返すこともあります。

さらに、テストの結果がよかったから実装となるわけではなく、「その数字は本当にあっているのか?」を常に疑って徹底的にデータ検証しているのもすごい。数字を鵜呑みにせず、クリエイターにとって最適な機能を開発するために、僕が昨年5月頃にチームに加わってからすでに約50もの施策を検証しているんです。

3人が話している様子の写真

——ものすごく定量的に検討しているんですね。

河野さん とはいえ、数字だけではなくて「noteらしさ」や「クリエイターファースト」という定性的な部分もすごく大事にしていると感じます。

たとえば、宇野さんや深津さんがクリエイター目線やnoteの存在意義、noteとしてどうしていくのかと、全体俯瞰のフィードバックをしてくれるんです。

定量的には結果に期待がもてても「noteの雰囲気にあわないよね」「クリエイターはうれしくないかも」と、施策を前に進めないこともあります。

金谷さん 私も以前、宇野さんからある施策について「読み手はうれしいかもしれないけれど、クリエイター目線じゃないよね」と、アドバイスを受けました。確かに、私は記事を読む機会が多いので、読み手目線で改善案を出してしまうことがあるんですよね。

そういう意見をもらったことで、noteが大切にしている「クリエイターファースト」の考え方に気づかせてもらいました。

長谷川さん noteはある種、2つの顔をもった会社ですよね。定量で「データドリブンです」という顔もあれば、「ほんとうにnoteらしいのか」と定性面で施策を検討する顔もある。

定量と定性のバランスがうまく機能していて、僕はそこがおもしろいなと。これは、noteのミッションやバリューが社内に浸透しているからこそ、成り立っているんだと感じます。

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“自分がつくったものを疑っていく”ことが大切

——noteで働いてみて、環境はどうですか?

河野さん 僕は週3日の業務委託で働いていますが、noteはデザインにとても集中できる環境を整えてくれるので、働きやすいです。基本的にフルリモートOKで、オフィスに行きたいときも気軽に行けて、ストレスなく業務できますね。

長谷川さん 所属チームもきちんとデザイナーの適性や志向などを、考慮してくれています。スタートアップ感のある会社は、基本的にどのチームも同じようにがんばることが多いです。ですが、それぞれの話を聞いてみると、河野さんのチームは徹底的にABテストを実施していて、改めてチームによってカラーがあるなと実感しました。

河野さん 僕の所属するチームでは比較的、短期間でクリエイターの売上げに直結するような施策を検討することが多いのも、理由の一つかもしれません。綿密にテストをして、クリエイターにとってよくない施策がリリースされないようにしています。

金谷さん 私のチームはより中長期的にnoteのカイゼンを目指す施策が中心で、河野さんのチームほどは細かくABテストを実施していません。もし河野さんのチームに配属されていたら、けっこう大変だと感じたかも(笑)。

河野さん 逆に僕は、いまのチームがあっているなと思います。徹底的に、定量的なデータを検証していくのがたのしいので。

また、noteには法人向け高機能プランの「note pro」というtoB向けのサービスもあり、サービスの対象や追いかける目標も全然違います。デザイナーも、自分にあう場所を考える余地があるのはいいですよね。

——noteのデザイナーはどのような能力や考え方が求められていると思いますか?

河野さん 自分がつくったものを疑っていくような姿勢が大事です。「いいものができた!」といって、未来永劫に残ってほしいと思うのではなく、つくったものを変え続けていけるような。

キャリアを振りかえっても、つくったサービスはそのまま残ることはなく、自分やほかのひとによってアップデートされますが、それをよしとするマインドが重要だと思います。

長谷川さん 実は僕もこのようなマインドセットが、プロダクトデザインには必須だと考えています。

意外とこのような考え方のひとは多くありません。一般的なデザイナーの価値観とは正反対ですよね。作品を創りあげたわけですから、それを残したいという想いがあるのは、ごく自然なこと。むしろ「変え続ける」という考え方やスキルを身につける機会はなかなかないので、話を聞いていてすごいなと思いました。

——noteで活躍するひととは、どんな方だと思いますか?

金谷さん 能力の高いデザイナーは、すでにあるサービスに対して、自分自身で課題を見つけられるひとだと思うんです。課題を与えられて、言われたことをできるひとは多いと思いますが、自分で能動的に動けるひとは少ないのではないかと。

noteはだれでも施策を提案できる環境で、「そもそもこの目標っておかしくない?」という疑問も歓迎してもらえます。だからこそ、noteにとって大切だと感じたことに積極的に挑戦できますし、そういった動きが必要だと感じています。

河野さん noteは主体的に考えて動くことを自然に鍛えられる環境ですよね。反対に、言われたことだけを黙々とこなしたいひとだと厳しいかもしれません。

長谷川さん noteはすでに853万人(2024年8月時点)の会員数に達し、多くの方が利用するサービスですが、まだまだ上を目指していますから。「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」という会社のミッションがありますが、世の中にはまだnoteを知らない方もいる。そういった層にnoteを届けるには、一人ひとりのリーダーシップが肝心になってきますよね。

河野さん noteに限らず、能動的な動き方を身につけることでデザイナーとして成長できると思います。きっと大きな目標に向かって走りつづけられるひとにとっては、おもしろい会社ではないでしょうか。

——1→10、そしてその先の100を目指すフェーズでミッションを追いかけているnote。あたらしいデザイナーがどんどん加わっているなか、挑戦の幅が広がることでnoteで働く醍醐味がふえていることがわかりました。ありがとうございました!

note社で働くことに少しでも興味をもっていただけたら、ぜひお気軽にお話ししましょう!

Photo by 玉置敬大


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