労務こそ、ミッションドリブンでありたい
会社全体での採用強化、noteのドメイン変更、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の改定……と会社として新たなフェーズを迎えているピースオブケイク。
2019年12月時点で、従業員数は70名弱。今後さらなる増員を見込んでおり、コーポレート部門の強化も急務。経理、総務、労務、人事といったポジションで積極採用を進めています。では、ピースオブケイクのコーポレート部門で活躍できるのはどういう人材なのでしょうか。
今回の#noteのみんなでは、コーポレート部門のなかでも「労務」にフォーカス。唯一の労務担当者・浦田彩未(うらた・あやみ)さんに、ピースオブケイクへの入社の経緯、コーポレート部門で活躍するためのポイントをうかがいます。お話を通じて見えてきたのは、ピースオブケイクという組織ならではの労務のはたらき方でした。
スタートアップ労務請負人のファーストキャリア
ー浦田さんは前職のSansanでも1人目の労務だったと聞きました。まさに「スタートアップ労務請負人」という印象です。
たしかに、前職の知り合いからは「またスタートアップで労務の立ち上げやってるの?」と言われますね(笑)。
浦田彩未(うらた・あやみ)|人材系企業を経験したのち、クラウド名刺管理サービスのSansanへ1人目の労務担当として入社。まだ数十名規模のフェーズから、グローバル展開して従業員数800名規模になるまでコーポレート部門の中心人物として関わる。2019年にピースオブケイクへ。
でも、はじめからスタートアップに興味があったわけではないんです。転職のきっかけも、前々職が人材系で、さまざまな企業の採用活動をサポートするなかで、より一社のコーポレート部門に深くコミットしたくなったから。
未経験で人事や労務を募集している会社を探していたところ、偶然出会ったのが名刺管理サービスのSansanでした。最初は事業内容すら理解が足りていなかったけど、「1人目の労務」というポジションに未経験でチャンスをもらえたことは嬉しかったし、会社として目指す方向性や集まっていたメンバーはすごくおもしろそうだったので、入社に迷いはありませんでしたね。
ー入社してギャップはなかったんですか?
ギャップというか、自分の想像以上に「ベンチャー」だということには驚きました。
前任者もいなければ、マニュアルもない。全部自分で道を切り拓いていかなければならなかった。それまではそこそこ規模の大きい会社に勤めていた自分の「当たり前」が通用しない世界に未経験で飛び込んでしまったんだ、と。
ーそのあたりはどうクリアしていったんですか?
とにかく勉強!これに尽きますね(笑)。自分が成長しないと組織の成長は止まってしまうので。
でも、労務には「日次」「月次」「年次」の業務があって、スパンの長いプロジェクトはなかなか経験値を積めません。毎日のように、はじめてのタスクにも直面します。さらに、頻度の異なる業務が被さるように発生し続けるから、「この仕事が落ち着いたら勉強の時間を確保しよう」なんて考えは通用しない。はたらきながら勉強するしかなかったんです。
ほかのメンバーが稼働している時間は自分もパフォーマンスを出さないといけないので、早朝や深夜に勉強の時間を設けて。日中は役所に電話したりしながら、アウトプットして……を繰り返していました。
いまは笑って話せるけど、当時はすごくしんどい毎日でしたね。上司や周囲のメンバーの存在がなかったら忙しさと「1人目」のプレッシャーに負けていたと思います。結果として6年半もはたらいたのですが、Sansanという組織、そしてプロダクトの成長をいちばん身近で見守ることができたのはわたしにとって大きな財産ですね。
noteを好きすぎるメンバーたちが愛おしい
ーでは、なぜSansanを離れようと?
自分のモチベーションコントロールが難しくなってしまったことが理由です。会社が大きくなるにつれ、プロダクトの進化も社内メンバーの動きも把握しきれなくなっている自分に気づきました。
たくさんの仲間や関係者が増えて、飛躍的に成長しているうれしい側面ではあります。ただ、コーポレート部門とプロダクトや社内メンバーとの間に距離感が生まれたような、もっと言ってしまうと「もし自分がオールを漕ぐ手をゆるめたとしても、会社が進むスピードは変わらないんじゃないか」と感じてしまう瞬間もあって。
マインドのシフトが必要でしたが、当時は急激に拡大する組織と自分の変化のスピードを合わせることができませんでした。自分、なによりもSansanという会社のためにも別の場所へ行くことを決断しました。
ー数ある企業のなかでピースオブケイクを選んだ理由を教えてください。
もともとは転職エージェントから紹介されたうちの一社でした。「従業員数300名以上」「事業内容がおもしろい」「成長企業」という条件を希望していたところ、なぜか従業員数100名未満のピースオブケイクが紹介されるという(笑)。
ただ、信頼し切っているエージェントだったので、実際に話を聞きに行ったらものすごくワクワクしたのを覚えています。CEOの加藤さんが描いているビジョン、プロダクトの世界観、目指している方向性……聞けば聞くほど興奮して、「自分以外の人がこの会社に労務としてジョインするのは悔しい」とすら感じるようになって。
きっと、これから会社としてもプロダクトとしてもうまくいかないことはある。それも含めてピースオブケイクの未来を全部見届けたいと思えるほど魅了されてしまったんです。
選考中に社員のみなさんに話を聞いてみると、みんな自分たちのプロダクトのファンなんですよね。そして、広めていきたいと本気で思っている。それがもう愛おしくて。正直noteのことはそこまで詳しくなかったけど、会社のこともプロダクトのことも社員たちのことも絶対に好きになれる自信が芽生えたので、入社を決めました。
ーSansanでの労務経験はアドバンテージになっていますか?
もちろん通用する部分はありますが、そのまま横展開はできませんね。組織のカルチャーが違うと仕事そのものも別物ですし、誤解を恐れずにいうと過去の経験が邪魔にもなることもあります。
たとえば2019年の夏に整備したピースオブケイクのワークスタイル(就業規則)。法律として守るべきポイントは押さえつつ、「ピースオブケイクの労務としてどう考えるべきか?」と求められる“余白”の部分が多いんです。
わたし自身、当初は前職のカルチャーに引っ張られてしまった部分はあったし、社内のことをキャッチアップできていなかったらもっと苦労したと思います。経験よりも、経営層のビジョンや哲学をキャッチアップしながら自ら考えていくチカラの方が求められるといえるでしょう。とくに労務は会社の方向性や社内メンバーへの期待、カルチャーやマインドを就業規則、福利厚生、人事制度などの「ワークスタイル」に変換して伝えていくポジションなので。
「2人目だから」という遠慮はいらない
ー実際にはたらいて感じたピースオブケイクの魅力とは?
挙げればキリがないのですが、入社前に想像していなかったという意味では強力なエンジニア陣の存在は大きいですね。
たとえば勤怠管理システムとSlackの連携。これまでは勤怠管理に抜け漏れがあると、Slackで該当するメンバーにわたしが一件一件連絡していたんです。「〇〇さん、●日の退勤が抜けていますよ」って。ほかの業務も並行するので、結局みんなに入力してもらって締まるまで3〜5営業日かかってしまう始末(苦笑)。
やりながら「今後組織が大きくなったらこんなことやっていられない……どうしよう……」と考えつつ、メンバーの負荷やスピード感を思うとどうしてもSlackで勤怠締めを完結したかったんです。その矢先、エンジニアから「毎回大変ですよね?勤怠管理システムとSlackを連携させましょうか」と。その結果、いまでは1営業日で締まるようになりました。
他にも自転車通勤の手続きを電子対応するために相談に乗ってもらったことがありました。エンジニアには当然本業があります。それにも関わらず、全体視点を持ってコーポレート部門の業務負荷軽減に積極的に関わってくれて、しかも非効率な点は自動化に向けて意見してくれるのは、ものすごくありがたいです。
ーいまの浦田さんにとってのモチベーションとは?
やはりnoteというプロダクトが広まっていくことです。
よく「社員が働きやすくなること」が労務のミッションと言われるんですが、わたしは手段のひとつでしかないと思っています。目的は、あくまでも会社のミッション実現。ここを履き違えてしまうと、会社の成長フェーズによって判断がブレてしまうんですよね。
会社のミッション、ビジョンを自分自身に浸透させて、ワークスタイルをデザインしていく。その結果、noteを広めていけたら、こんなに嬉しいことはありません。
ー最後に、「2人目の労務」として迎え入れたいのはどういう方か、教えてください。
セルフモチベートしていける方ですね。おそらく、想像している以上に未整備で変化の激しい環境なので、自ら課題を見つけて解決までたどり着けなくてはいけない。わたし自身、それなりに腹をくくってきたつもりでしたが、想像以上でした(笑)。
人によっては「会社としてもっとルール化されていてもいいのでは?」と思うかもしれませんが、わたしの場合は「これからいろいろ仕掛けていける!」と思えたんですよね。いい意味でのギャップというか。実際やってみると、数ヶ月でガラッと変えていくことができる。
わたしと近いマインドの方にとっては、ものすごくやわらかくてやりやすい組織だと思います。逆に、自走できず指示待ちになるとやりにくさを感じてしまうのではないでしょうか。
「2人目の労務」と聞くと、わたしのサポート的な意味合いを感じるかもしれませんが、それよりも「0→1(ゼロイチ)」でつくりあげていく気持ちを持ってほしいですね。正直、やりたいことはたくさんあるけど、リソース不足であきらめていることもたくさんある状況なので、組織としてはまだまだ未整備。わたしのバディとして、ときに壁打ちしたり、わたしにはない視点で意見を発信してくれたりしてもらえたら嬉しいです。
ホント、やることは山積みなんですよ。同時に、今後会社として組織が大きくなると社員同士や経営層との距離も生まれてしまう可能性がある。より大きな攻めの変化を起こしていくために、エンジニアもデザイナーもディレクターもコーポレートも会社のことを「自分ごと化」できる組織を一緒につくっていきたいと思います。
ー浦田さんとお会いして、会社や社員に対する想い、そして仕事に対する熱量の高さをすごく感じました。同時に、労務という仕事への理解が深まったような気がします。今日はありがとうございました。
1月16日、浦田さんが登壇するイベントも開催します。ご興味ある方は、ぜひお越しください。
Text and Photo by 田中嘉人