いまのnoteは、インフラエンジニアにとってボーナスステージだ
7年目に突入したnote。月間アクティブユーザー数は4,400万、投稿記事数は720万件を超えました。noteは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」というミッションを現実のものにするために、成長を続けています。
noteの成長を陰ながら、力強く支えてきたのがインフラエンジニアで構成された「SRE(サイト・リライアビリティ・エンジニアリング)チーム」です。リーダーの飯野正之さんは2018年1月の入社以来、サーバーまわりに加えて、ネットワークやセキュリティにいたるまでを一手に担ってきました。
そして、「いまのnoteこそ、インフラエンジニアにとってはボーナスステージのようなもの」と話す飯野さん。今回の #noteのみんな では、飯野さんの言葉の真意に迫ります。
「とくにこの1〜2年はおもしろい」と断言できる
ーまず、SREチームの役割について教えてください。
単にサーバー周りだけではなく、アプリケーションが稼働するシステムの設計からチューニング、ネットワークの構成、セキュリティ対策、さらにはVPNの運用管理まで、note全体の健全性を一手に担うポジションだと捉えています。
明確な線引きはないんですが、いわゆるインフラエンジニアよりもSREのほうが守備範囲は広いイメージですね。
ーでは、なぜ「インフラエンジニアにとって、いまのnoteはボーナスステージ」といえるのでしょうか?
SREチーム自体が結成されてまだ1年。まだまだゼロベースで、noteのインフラ構築に取り組めるフェーズだからです。
前提として、いまのnoteのインフラ構成は最適化されているとはいえない状態です。2020年6月いっぱいを目処に土台を組み直して、以降はコンテナ基盤にすべて移行させていこうと考えています。
ドラスティックに、自分たちのカラーも出しながら、ゼロベースでまったく新しいものに組み直していく。おおきな建物の大枠は残しつつ、内側はシロアリを駆除しながら、木枠を鉄骨に入れ替えていくようなイメージです。
ーほとんど完成されているサービスだと思っていたので、意外です。
はい、じつはまだまだ課題は山積みです。前例はないので、自分たちで知恵を絞り、向き合っていかなければなりません。ただ、noteというこれだけ多くのひとに愛用してもらっているおおきなサービスに、ゼロから関われるのはすごくレアなケース。
これまでエンジニアとして学んできた知識や技術を惜しみなくnoteに注ぎ込めます。やることはたくさんありますが、とくにこれからの1〜2年は絶対におもしろいと思います。
飯野正之:インフラエンジニア/ブイキューブやサイバーエージェント、スタートアップを経て2018年1月noteに入社。SREチームのリーダーとして、noteのインフラを陰から支えている。
ーより規模の大きいサービスに関わりたい方には、最適かもしれませんね。
まさに。しかもnoteのエンジニアはインフラ以外にも、フロントエンドからサーバーサイドまで腕利きが揃っています。それこそ、他社ならCTOクラスのエンジニアもいるほどです。
みんな技術に関しても惜しみなく教えてくれます。彼らのようなプロフェッショナルと高いレベルで仕事をしながらお互いを高め合っていける環境なんて、最高すぎると思います。
クリエイターのために広告を入れない姿勢に惚れた
ー飯野さんは、なぜnoteに?
「ユーザーをたいせつにしているサービスに関わりたい」と思っていました。
前職はスタートアップで働いていましたが、会社の方針と合わずに転職を決意。noteで働いていた知り合いのエンジニアに、声をかけてもらったことがきっかけになりました。
CEOの加藤さん、CTOの今(こん)さんと話していると、会話のところどころにクリエイターやユーザーに対する真剣な想いがあふれ出るんですよね。noteでは「クリエイター視点で考えよう」というバリューを掲げていますが、会話のなかでも「noteは広告がない。広告がある方が利益になるが、創作においてはノイズになることもあるから」と。
“ユーザーを大切に”というメッセージを掲げている企業は多くあれど、実際に体現できているところは本当に少ないんです。そこは非常に心を打たれたポイントでした。
ーその後、すぐに入社を?
いえ。こういうのって実際に入社したらなんか違うってことよくあるじゃないですか。だから、お互いの理解を深めるためにも、まずはアルバイトとして開発に関わらせてもらったんです。
すると驚くことに、エンジニアのみなさんも加藤さんや今さんと同じ想いで働いていて。「noteが掲げるミッションを実現するために、自分たちには何ができるか?」という視点で、開発に取り組んでいたのには驚きました。
noteのミッションとバリュー
社内の雰囲気もすごくよくて、何かミスがあってもバグの原因をつくったひとを責めるのではなく、「なぜバグが起きたか」を明らかにするんです。ミスを憎んで、人を憎まずというか。だから、心理的安全性が生まれ、ギスギスしないし、質問や相談もすごくしやすいんです。「ここなら一緒に働きたい」と思い、入社を決めました。
ーnoteのインフラエンジニアならではの仕事について教えてください。
ここ最近のnoteはおおきなサービスになっているので、バグが起きないようにカイゼンしていくことは簡単ではありませんね。
たとえばAWSなどパブリッククラウドでインフラを構築していると、ウェブの画面の操作だけでも完結はできるんですが、体系的に構成を管理することやメンテナンスが難しくなってしまいます。
その解決策として、Infrastructure as Code、つまりインフラの構成定義をコードとして管理していく方法が一般的なのですが、いまはそれをレガシーな設計からアップグレードしているところです。
アプリケーションであれば見た目にも変化は感じ取れますが、インフラの場合は見た目では判断が難しいため、設定をすべてコード化して、レビューして、テストして……を納得がいくまで繰り返します。ミスがあるとサービスが止まってしまうので。
ゼロからインフラを構築するよりも、難易度は高いと思いますが、想定通りにいったときは近くのエンジニアに自慢しにいきます。それくらいうれしいです(笑)
noteで指示待ちタイプは置いていかれてしまう
ー飯野さん自身、もしくはSREチームの今後の目標を教えてください。
まず、SREチームの使命は、クリエイターが安心して気持ちよくnoteを使い続けられるようにすること。インフラは目に見えづらい領域ですが、「ユーザーがnoteを安心して使い続けられているのは、SREチームが頑張っているから」と思われるようなチームにしたいですね。
そのためには、やらなければいけないことは無数にあります。データまわりやトラフィックの負荷対策、不審なアクセスへの対応など、よりnoteが攻めていけるように防御力をもっと高めなくてはいけない。まだ手つかずな部分もあるので、早々に形にしていきたいです。
ーチームメンバーとして仲間入りしてくれるとしたら、どういう方を迎えたいと思っていますか?
エンジニアとしての知識と経験、スキルは大前提として、人柄や仕事の進め方におけるスタンスが合う方に来ていただきたいです。
具体的には、常に先読みして物事を考えて行動できる方、ですね。というのも、noteの仕事ってスピードが速いんですよ。指示がないと動けないタイプだと、いずれついていけなくなってしまう。もしそういう人が出ると、サポートする人が必要になり、全体での効率低下を招いてしまいます。
「やろうと思っていたことができない」という事態はぜったいに避けたいので、“自走できる人”と一緒に働きたいと思います。
ーありがとうございます。最後に、飯野さん個人としてはnoteをどんな風に使っていますか?
じつは、書くのが苦手で(笑)。なので、noteは読む専門です。アウトドアが好きで、自分の関心のある分野の記事が上がってくると嬉しいですね。
そういう意味では、ユーザーでありつつ、つくる側でもある。エンジニアとして理想の環境だと思います。自分が普段から使っているサービスだから、開発の良し悪しを自分でも判断できる。そのあたりもnoteならではかもしれませんね。
ー多くのひとに利用されているサービスにゼロベースで関わっていける。もちろん難易度は高いけど、それ以上のやりがいがあることがうかがえました。今日はありがとうございました。
▼noteを一緒につくりませんか?
Text by 田中嘉人