ほかにはない「プラットフォームをつくる」という経験。クリエイターの幸せをつねに見据えるnoteのPdMとは
近年、プロダクトマネージャー(PdM)という役割を社内に置く企業が増えています。noteもそのひとつ。では、noteのPdMとは何をするポジションなのでしょうか。
そこで話を聞いたのが、noteのPdMを務める石坂優太さん、浅子拓耶さん、小西裕真さんの3人。彼らの言葉に共通しているのは、売上や利益といったわかりやすい数字だけを追い求めるのではなく、一貫してクリエイターの幸せを目指していることです。
この記事では、3人の言葉をもとに、noteのPdMの役割や魅力を聞きました。
PdMの役割とは。プロジェクトマネージャーとの違い
石坂優太さん/PdM マネージャー兼リーダー
新卒でパイオニアに入社し、カーナビ開発のソフトウェアエンジニアとして従事。その後、ビズリーチ、リテールテック領域のスタートアップを経て、2019年5月にnoteに入社。当初はエンジニアとしてサービス開発に携わり、2021年4月よりプロダクトマネージャーを担当。note
—さっそく伺いたいのですが、PdMとはどんな役割なんでしょうか?
石坂さん:その説明をするのに、プロジェクトマネージャー(PjM)と比較するとわかりやすいと思います。どちらも「PM」と略されがちですが、役割は違うんですよ。
PjMは、つくるプロダクトや製品など、すでに“やること”が決まっている中で、プロジェクト責任者としてクオリティ(品質)、コスト(費用)、デリバリー(納期)を達成する役割です。
PdMは、もっと手前で「何をやるか」を考える役割。課題と社内のアセットを照らし合わせながら、何をつくるか、どこを改善するか検討する立場ですね。またその中で、デザイナーやエンジニアといった専門家を束ねていきます。
浅子拓耶さん
動画合成エンジンのPjM・ディレクターや、Web、モバイルアプリのオフショア受託開発でのスクラムマスター、AdobeでのPjMなどを経て、2020年10月にnoteに入社。現在はPdMとして、クリエイターが創作をつづけるための施策を担当。note / Twitter
浅子さん:PdMが発展したのは、ここ10年ほどだと思います。プロダクトの流行のサイクルが早く、またユーザーの選択肢も増える中で、何をつくるかを迅速に、しかも適切に選ぶことが求められています。その中で、こういう人材のニーズが高まってきました。
石坂さん:noteのPdMの体制に触れましょう。社内にはテーマごとに開発チームがつくられており、それぞれでプロダクトの開発を進めています。テーマの例を挙げれば「クリエイターの作品をより届けるためにどうするか」など。その各チームにPdMがいて、日々何をつくるか議論している形です。
実際に何をつくっているのか、例を挙げるなら、小西さんが携わった「エディタ機能のリニューアル」がわかりやすいと思います。
小西裕真さん
エンジニアやチームマネージャー、PdMなどの経験を経て2021年4月にnoteに入社。チームをまとめるだけではなく、元エンジニアの経験を活かし、作業の自動化やRedashを用いた数値の可視化など、業務効率化も自ら行う。現在はPdMとして、クリエイターが創作をつくるための施策を担当。note / Twitter
小西さん:noteの記事編集画面(エディタ)を、今年4月に大幅リニューアルしました。クリエイターの皆さんにとってエディタの使い心地はとても重要なので、かなり不安もあったのですが、1年半ほどかけて完成して。現状75%ほどのクリエイターに使っていただけているので、おおむね良い改善だったのかなと思っています。
流通や経済が生まれるプラットフォームだから、事業を起こしやすい
-みなさんは、noteのPdMのどんな部分に魅力や特徴を感じていますか?
石坂さん:国内でも唯一といっていいプラットフォームに関われることですね。noteは、SNSであり、メディアでもある。YouTubeやTikTokに近いプラットフォームだと思います。国内だと特定のジャンルに特化したプラットフォームはありますが、noteはオールジャンルの作品が対象。その意味では日本にもほとんどないのかなと。
だからこそ、ここで経験できることも他にはないと思います。たとえばプラットフォームに人が集まり活動が行われると、その中で流通や経済が生まれます。クリエイターエコノミーという言葉もありますが、今度はその上に新しい事業を起こしやすい。これはPdMとしても魅力です。
浅子さん:それはよく石坂さんと話していて。クリエイター同士でスキルをシェアしたり仲間を作ったりして事業を始められますし、こちらもクリエイターやコンテンツを見ながらこんなことをしたら面白いのでは、と考えられるのは楽しいですよね。
石坂さん:もうひとつの特徴は、noteのゴールが「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」であることです。そのためのプラットフォームをつくることが目的です。
ですから、PVや売上を上げるのは手段であって目的ではない。仮にPVを上げたいだけなら、著名人の作品を前面に出せば効果は出やすいでしょう。でも、それはだれもが創作する世界に近づかないかもしれない。
売上も大切ですが、その先の世の中づくりやプラットフォームづくりに関われるのは楽しいですね。noteのビジネスモデルも、クリエイターが収益を上げるとnoteの収益も上がるビジネスモデルになっています。ミッションとビジネスモデルが一致しているんですね。
小西さん:プロダクトが完成したらPdMの仕事は終わりではなく、リリース後も発信やクリエイターとのコミュニケーションを行うのも面白いところです。たとえば「noteカイゼン報告」というページがあり、新機能や機能改善の詳細を報告しています。
石坂さん:“だれもが”創作する世界を目指すには、まずはnoteを多様なプラットフォームにすることが必要。ただし、多様な分、ユーザーニーズもさまざまに細分化されていきます。だからこそ、完成後もつねに会話をして細かなニーズを把握しています。
あともうひとつ魅力を挙げるなら、CEOの加藤貞顕さんやCXOの深津貴之さん、2月からCDOとなった宇野雄さんなど、企画力やプロダクト開発、あるいはデザインの第一人者と働けることですかね。その分、要求も高いですが、確実に自分の財産になると思います。
-noteのPdMはどんどん増えているんですか?
石坂さん:増えているし、これからもっと増やしたいです(笑)。実は、noteでPdM体制が始まったのは、2021年6月から。それまでは、加藤さんと深津さんがPdMとして引っ張っていました。
そうやって成長してきたものの、やはり“だれもが”創作する世界を目標にすると、いまのnote会員はまだ500万人ほど。日本の人口を考えたら、富士山の1合目にも来ていないと思うんです。さらにスケールするために、トップ2人が引っ張るのではなく、いくつものチームがプロダクトをつくる現体制に変わりました。
浅子さん:日本国内1億3000万人が創作する世界をつくるには、やること・やりたいことが無限にあって。そのためには、小さいチームをたくさん社内につくりたいですし、要となるPdMが必要になってきます。
毎日見るハッシュタグに、noteのPdMとしてうれしい瞬間がある
-ところで、皆さんはどんな理由でnoteに入社したんですか。また、実際に働いてみての印象も教えてください。
小西さん:もともとエンジニアでキャリアをスタートして、その後、PdMへと移りました。noteに転職したのは、プロダクトドリブンで会社が成長していたからです。僕がやりたかったのは、長期でプロダクトを磨き上げて、ユーザーへの価値提供を高めることで企業が成長するモデル。noteはそれを実現していると思いましたし、実際に入ってもその考えは変わっていません。
特にこの仕事でうれしいのは、やっぱりクリエイターの喜んでいる様子が伝わったときですね。カイゼン報告もそうですし、SNSでもよくエゴサをするのですが、自分の関わった機能改善を喜んでもらえる瞬間は幸せです。
浅子さん:僕は7年ほど受託開発をしていたのですが、受託開発はどうしても作るサービスがお客さま企業のものなので、ユーザーが使って喜んでくれるまでの体験ができなかったんです。
自分のつくったサービスで喜んでくれるまでを体験できて、かつ人やプロダクトを大事にしている企業に行きたいと思い、この会社に行き当たりました。調べると、たくさんの社員が自分のことをnoteに書いて発信していて。大げさでなく、それをほぼ全部読みました(笑)。それで自分のイメージは間違っていないと感じましたね。最初はPjMで入り、その後PdMになったんです。
noteのよいところは、いつも「クリエイターのためになるか」という軸で仕事ができることです。すごく充実しています。
石坂さん:僕が入社した理由は大きく2つあって。1つは、事業に対する共感です。自分自身、ものづくりが好きですし、だれもが創作できる世の中は幸せだと思っています。そしてもう1つは、自分の学びになると思ったことです。国内にほぼないプラットフォームであり、加藤さんや深津さんから学べることも多いですから。
やっていてうれしいのは、クリエイティブなことをして楽しんでいる人が増えることです。たとえばnoteには「♯noteでよかったこと」というハッシュタグがあり、皆さんがnoteによってこんないいことがあったというエピソードを載せています。僕はそのハッシュタグを1日1回見るほど好きです(笑)
ここに来れば、きっと「スキルの手札」が増える
-3人とも、仕事の中心にクリエイターがいることがわかりました。最後に、noteのPdMに向いているのはどんな人か、あるいは、どんな人が働いたら面白そうか、何かイメージはありますか?
石坂さん:まず何より、クリエイターやクリエイティブに興味を持てるか、だと思います。社内の議論は「何がクリエイターのためになるか」がすべての出発点なので、とにかく売上のことだけを考えたいというマインドだと合わないかもしれません。
あとは、自分のキャリアを考えたときに、noteに入ることで「スキルの手札」が増えると思います。
-スキルの手札が増える、とは?
石坂さん:こういうプラットフォームに関わるのは、多くの人にとって初めてだと思うので、自分の知らないスキルやノウハウに触れることができるのではないでしょうか。ほとんどのビジネスをやり尽くしたという方でも、新しい体験が得られるかもしれません。
-働く環境についてはどうですか。今日は小西さんも大阪からリモート参加ですが。
小西さん:働き方の自由度はかなり高いと思います。僕はいまも大阪に住んでいて、リモート前提で入社しましたし、ほかにも遠方に住んでいる方が何人もいます。
浅子さん:僕もずっと海の近くに住みたいと思っていて。少し前に神奈川県に引っ越しました。会社まで2時間半ほどかかるのですが、リモートがメインですし問題ないですね。CEOに引っ越しを相談したときも、全然抵抗がなくて。
石坂さん:働く場所や時間にはこだわりのない社風だと思います。大切なのは、やはりnoteのミッションに共感し、いまより10倍100倍という規模の成長を一緒に目指せる人。そんな人は、きっとnoteのPdMに向いていると思います。
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interview & text by 有井太郎 photo by 石川麻由子