「言語化できない難しさがある」「それがいい」と語るnoteのPdMが苦笑いの奥に見せたやりがい
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「言語化できない難しさがある」「それがいい」と語るnoteのPdMが苦笑いの奥に見せたやりがい

プロダクトマネージャー(PdM)には、事業目標達成のために仮説検証を重ねながらプロダクトを成長させる役割があります。そのため、企業によっても定義や業務内容はさまざま。

実は、noteでPdM体制が始まったのは2021年6月のことでした。それまではnoteのCEOの加藤貞顕さんとCXOの深津貴之さんがPdMとして企画し、開発に落とし込むような流れだったのです。

そんな“始まったばかり”なnoteでのPdMは、具体的にどのような役割を担うことになるのでしょうか?noteのPdMである石坂優太さんに聞きました。

新体制切り替えは「このままではスケールに耐えられないから」

インタビューに答える石坂さんの写真

石坂 優太(いしざか ゆうた) / プロダクトマネージャー
新卒でパイオニアに入社し、カーナビ開発のソフトウェアエンジニアとして従事。その後、ビズリーチ、リテールテック領域のスタートアップを経て、2019年5月にnoteに入社。当初はエンジニアとしてサービス開発に携わり、2021年4月よりプロダクトマネージャーを担当。note

ー noteではPdMというはっきりとした役割がなかった認識です。なぜ改めて定義することにしたんでしょうか?

以前までのnoteの開発体制は、すばやく小さな改善を重ねるカイゼンチームと、機能開発チーム、noteの長期的な土壌をととのえる基盤チームの3つがありました。

前述のように、noteのプロダクトの中心には加藤さんと深津さんがいて、みんなが出したたくさんのアイデアの中からやるべきことを意思決定し、新機能開発が進められてきた経緯があります。その時々で各開発機能にプロジェクトマネージャー(PjM)がアサインされ、デザイナーやエンジニアがプロジェクトマネージャーを担うケースもありました。その体制でも問題はなかったんです。しかし、これからスケールしていくことを考えると耐えられない。そこでPdMを含めた開発体制へ切り替えることにしたのです。

ー 「スケールに耐えられない」とは、どのあたりですか?

加藤さんも深津さんもエンジニアリングを理解したうえでアイデアを出せるし、意思決定もできる。だから、個人的にもこのコンビは最強だと思っています。とはいえ、現場のリソースを把握しながら動けているわけではありませんでした。なので「これをやりたい」となっても、現場ではタスクが溢れている状態になりつつあったんです。

各現場ごとに振られたタスクの優先順位を判断して、より重要なことに絞って開発を進めていく必要があります。そうしないと、今後どんどん開発プロジェクトが増えていって、組織が拡大したときに自律的に判断できず、効率が落ちていきます。今回の体制変更は、そういった課題を解消することも目的でした。

さらに言うと、プロダクトが拡大すれば、現場で起こる事象も増えます。現場の声もすくい上げ、意思決定に加味していく体制にしておかないと判断を誤るとも考えました。

また、noteでは「グロースモデル」を活用して事業を体系立て、各種KPIのいずれかが下がったらそこの優先順位を上げて取り組んできました。その他の施策の優先順位づけにも、深津さんがつくったUXガイドをもとにチェックしていました。とは言え、今後はUXガイドに書かれていない事象も起きる可能性があります。深津さん一人に頼るのではなく、データを活用するなどして、メンバー一人ひとりが考えて動けるようにしておかなくちゃいけない。

ここまでの話を聞いて「頼りきりだったんじゃないか」と思われるかもしれませんが、成長スピードが求められていたフェーズにおいて、もっとも早く打ち手をくり出せる手段を選ぶのはスタートアップとして正しいやり方と言えます。でも、今後のnoteは加藤さんと深津さんの知見だけでは足りない。だから、PdMとしての業務を移譲するだけでなく、同時にメンバーの思考レベルを上げるための仕組みもつくろうとしているんです。

noteのPdMに「大局観」が求められる理由

話す石坂さんの写真

ー 2021年6月以降から、どんな動き方をしているんですか?

PdMやエンジニア、デザイナーで「このイシューを解こう」と話し合えるアジャイルチームの体制に変更中です。たとえば「クリエイターのコンテンツをより多くのひとに発見してもらうにはどうしたらよいかを考えるチーム」みたいな立て付けにして、喧々諤々と何をすべきかを話し、結果を検証していく。そういったチームを、noteが重視するトピックスごとにつくっていくイメージです。この体制を、うまく根付かせたいと思っています。

ー noteのPdMは、具体的にどんな仕事をすることになりそうですか?

大前提として、PdMはプロダクトの課題を解決すること、そのためのチームづくりや運営を担う役割があります。その点においては同じです。ただ、noteの場合は事業側よりも開発側と連携した業務のほうが多いかもしれません。

具体的には、プロダクトでどんな課題を解くべきか、そのためになにを開発するべきかを経営陣とも対話しながら決め、実行していくことが主な役割です。話し合いの場では、トップダウンとボトムアップそれぞれで「やりたいこと」をすり合わせられる。そこで出た施策を、どんどん検証していきたいんです。

あとは、noteのPdMは全体を俯瞰できるスキルがけっこう重要かもしれません。noteはプラットフォームなので、たとえば一部のクリエイターやジャンルが盛り上がることは嬉しいことではありますが、全体のバランスがとれていなければ発展していきません。短期的な目標や施策に集中しながらも、全体のバランスが崩れないかは常に頭に入れておく必要があります。なにより、型どおりできる仕事のほうが少ないので(笑)。

ー そのなかで、石坂さんが楽しいと感じるところは?

僕自身、ものづくりが好きなんです。私生活でもいろいろなものをつくっては、実験したりしています。だから、noteというサービス自体に親和性を感じていました。知り合いにクリエイターも多く「彼らが幸せになるにはどうしたらいいか?」は頭の片隅にずっとありました。noteは、その課題へダイレクトにアプローチしようとしているところに面白さを感じ、入社を決めました。

noteでPdMとして働く魅力は「独特の難解さ」

説明する石坂さんの写真

ー そして一番聞きたいのは「noteでPdMとして働く魅力」なのですが…?

やはりそこを言語化できていたほうがいいですよね。いつもカジュアル面談ではご本人の経験や思考に合わせて説明しているのですが、こういう「いろんな方が読む記事」で語ろうとすると難しいですね……note自体がぜんぜんシンプルじゃないためにうまく言えなくて(笑)。

ー シンプルじゃない?(笑)

世の中のサービスには「こうすればユーザーに満足してもらえる」と答えがはっきりわかっているものも多いです。でも、noteはインターネットの時代に適したあたらしい創作のエコシステムをつくって、"だれもが創作をはじめ、続けられるようにする"ことが目的のサービスです。

だから、何をどう実行すればサービスとして成功できるのかがわかりづらい。選択肢が多いし、前例がほとんどないんです。もちろん、仮説検証を繰り返して正しい打ち手を探し続けてきたからこそ現在のnoteがあるわけですが、未だにうまく言語化できないんですよね。

ー 「うまくいく」の言語化も難しいという(笑)。

そうです(笑)。でも、それゆえの「難しさ」が、noteでPdMとして働く魅力だと思っています。たとえばECサービスであれば、ユーザーの利用目的が明快なので「商品が売れる・買える」というわかりやすい指標に絞れることが多く、仮説検証もわかりやすかったりします。ところがnoteの場合は、そういった単一の指標が改善すればOKということはほぼありません。短期的にすごく記事が売れたとしても、クリエイターにとって住みよい場所でなければ、コンテンツが投稿されなくなったり、読者がいなくなったりして全体としてはしぼんでしまう。

そのため「クリエイターが創作を楽しみ続けられるためには」といったような抽象度の高い課題にも同時に取り組む必要があります。

ー 抽象度が高いために、言語化も仮説検証もわかりづらいんですね。

実は、僕がnoteへ入社したもう1つの動機がここにあります。「noteがなぜうまくいっているかわからない」をわかるために入ったと言いますか(笑)。他企業で働くPdMでも「noteはなぜうまくいっていると思う?」の質問に、明確に答えられる人は少ないはず。そういった、まだ見つけられていない成功のヒントを探れるのは、noteしかないと思いますね。

「サービスのことだけ考えていてはいけない」

微笑みながら話す石坂さんの写真

ー noteは、すでに多くのクリエイターさんに使われているサービスでもあります。でも、やるべきことはまだまだある…?

嬉しいことに、多くのクリエイターさんに使っていただいています。でも、それは「創作する場」として活用していただいているということ。僕らnoteの目的は「創作のエコシステムをつくること」。そのためには、ただ「創作する場」で満足していてはいけないんです。むしろ、新たな経済システムをつくるつもりでないと。

ー 新しい経済システム!

noteのPdMは「創作のエコシステムをつくる」ために、サービスを考えるだけでなく、経済規模で考える姿勢が求められるんです。

加藤さんや深津さんと話すときも、事例としてわりと頻繁に歴史や国家形成の話が登場します。ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、僕としても、それくらいのスケールでnoteというサービスを考えていかないと、後々、道を間違えてしまう気すらしています。

たとえば、noteには広告がありません。わかりやすく収入を得るなら広告は必要。しかし、noteが目指す「創作のエコシステムをつくること」を軸に考えると、広告の存在によってPVを稼ぐことを第一目的にしたもの、一般的にウケがよいとされるコンテンツばかりが増えると、noteの多様性は下がり、雰囲気もいまとはまったく違うものになってしまいます。

結果的に、クリエイターのための経済システムにいい影響を及ぼさないと判断し、入れてこなかった経緯があります。そう考えると、目指す方向性も判断軸も非常にユニークですよね。

ー そんなnoteで、石坂さんがPdMとして直近でやりたいことは?

個人的にnoteはもっとコミュニティ的であってもいいと思っているんです。創作はコミュニティから生まれます。しかし、noteのコメント欄やサークル機能では、まだコミュニティを形成しにくい。ライフスタイルやテクノロジー、マンガなど大きなカテゴリはあるけど、抽象度が高いので、もう少し細分化されていないと仲間をみつけにくいですよね。

コミュニティができれば、noteに定着する人も増えるし、おなじ興味関心を持つ読者からクリエイターの作品を見てもらいやすくなる。まずはこのあたりの地盤を固めつつ、着実にクリエイターのためのプラットフォームとして拡大させていきたいですね。


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Text and Photo by 福岡夏樹

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“だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。“をミッションに、表現と創作の仕組みづくりをしています。note(ノート)では、クリエイターが各自のコンテンツを発表してファンと交流することを支援しています。cakes(ケイクス)は、cakes発のベストセラーを多数輩出しています。