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世界観をデザインしよう。noteデザインチームが拡張する、デザイナーの可能性

noteのデザイナーに期待される役割とはなにか?

ここ数年、ウェブ業界を中心にデザイナーを取り巻く環境、そして期待される役割が変わってきています。制作だけではなく経営や組織マネジメントにおいて、デザイナーならではの課題解決力が求められる場面は増えてきたのではないでしょうか。

しかし、noteデザインチームのリーダー・川井田さんは、「noteのデザイナーにおける役割は、目の前の課題解決だけではなく、もっと幅が広い」と話します。その言葉には、どういう意味が込められているのでしょうか。今回の記事では、川井田さん、そしてデザインチームで多岐にわたる活躍を見せる沢登さん、松下さんとnoteならではの魅力について語りました。

あらゆるひと、ものとの「関係」をデザインしよう

ー 単刀直入におうかがいします。noteのデザイナーならではの特徴とはなんですか?

川井田:単にUIをつくるだけではなく「関係」をつくることにフォーカスしている点です。クリエイターだけに限らず、noteと関わるあらゆるひと、ものとどんな関係を築くとnoteがより良くなるのかを大きな視点で考えるようにしています。

話している川井田さんの写真

川井田 好應(かわいだ よしたか)
レコード会社や広告代理店でのデザイナー経験を経て、フリーランスデザイナーとしてベルリンを拠点に活動。ベルリンではプログラマーの弟と複数のコワーキングスペースを利用し、多数のハッカソンに参加する中で、スタートアップの世界やUI/UXデザインへの強い興味を持つ。その後再び東京に戻り、クリエイティブエージェンシーでのデザイナー経験を経て2018年11月にnoteに入社。noteのカイゼンチームに所属しながら、グラフィックデザイナーの経験を生かしてブランディング面からの改善を少しずつ実行中。
Twitter / note

川井田:これまではサービスとして未整備な部分が多く、実装したい機能が多かったので「とりあえず、必要な機能をつくらなきゃ」と手を動かしまくっていました。その甲斐あって使っていただくうえでの大きな穴は塞がれてきたので、引き続きスピーディーに開発する作業を進めながら「より使いやすくするためにはどうすればいいのか」を磨き込むフェーズに入ってきています。そのためには「何をすればいいのか」から考える必要があります。

いまは、チーム内外の連携をさらに効率よく進めることと、開発だけにとどまらない提案をしていくために、デザイナーの人数が必要になってきている状態にシフトしています。やるべきことはたくさんありますが、特にこれからのデザインチームにとってのキーワードが「関係」づくりです。

松下:noteは、単なる便利なツールではないんですよね。一貫しているのは「noteは街」という考え方です。街なので、住宅街やオフィス、学校や公園、美術館や博物館などがあります。当然、いろいろなひとが暮らしているので「自分だけのお気に入りの部屋でのんびり過ごしたいひと」もいれば「成功して自分の会社を持ちたいひと」もいる。多様な価値観が共存し、かつ心地よく暮らせる街に必要なのは、便利さや合理性だけではありません。

ー 「noteには、便利さや合理性だけでは足りない」とはどういうことでしょうか?

川井田:わかりやすい例を挙げると「プレゼント」です。たとえば、ぼくが同年代の30代男性に何かプレゼントをするにあたり、合理的な方法のひとつがネットで「30代男性 プレゼント」と検索し、ヒットした品物を贈ることです。相手もプレゼントに不満を感じることはないでしょう。ただ、相手の記憶に残ることはないかもしれません。

より喜んでもらうためにはどうすれば良いか。それは、プレゼントの中身だけでなく、プレゼントにまつわる色々なものも一緒に考える必要があるんです。相手との関係性やラッピング、渡すシチュエーション、交流頻度なんかも関係しているはずです。さまざまな条件を考慮して、あらゆる角度から「どうしたら喜ぶか」を考えています。

noteという街のなかで、あらゆるひと、あらゆるものがいい関係でいられるように計画を立てていくこと。それが、noteのデザイナーに期待される役割だと考えています。

インタビューに答える松下さんの写真

松下 由季(まつした ゆき)
制作会社にてWeb・Appのデザインを経験したのち、ヤフーで女性向けメディアプラットフォーム TRILLの立ち上げから運用までに従事。2018年よりnoteに入社。現在は主にnoteのグロースにおいて、施策の提案・管理および実制作を担当。Twitter / note

松下:もちろん、「関係性をつくること」はデザイナーだけではなくnoteのどの職種にも共通している部分です。デザイナーは進むべき方向性や完成イメージを定めることが得意なので、「計画を立てていくこと」が期待されると捉えています。

川井田:たとえばnoteという街の理想像として「挨拶しあう街」という計画を立てれば、それぞれがすべきことが見えてくるし、モチベーションにもつながるわけです。挨拶を例に出したように、noteとnoteを使ってくれるひとの関係だけでなく、note利用者同士の関係もすばらしいものになるように設計していきたいと思っています。

プロジェクト進行もブランディングツールの制作も、全部デザイナーの仕事です

ー 日々の業務は以前と比べてどのように変化してきていますか?

話している沢登さんの写真

沢登 達也(さわのぼり たつや)
デザイン会社にて10年以上のWeb・UI・サービスデザインの経験を経て、2018年1月入社。マークアップエンジニアのバックグラウンドを生かし、Web・Appなどデバイスを問わず、デザイナーが必要なシーンに網羅的に関わる。Twitter / note 

沢登:ぼく自身はそこまで大きく働き方自体は変わっていません。いろいろなチームやプロジェクトに片足を突っ込んで、デザイン面を担当しています。

ただ、川井田さんが話したように、いまのnoteは基本機能は備わってきて、より課題が複雑になってきています。状況把握や課題抽出に重きを置くようになりましたね。定性だけではなく定量情報にもきちんと目を配るようになったと思います。そういう意味で、単に手を動かすひとよりも旗振り役が求められているのかもしれません。

松下:私はプロダクトマネージャー(以下、PdM)も兼任しているので、「どうやってグロースさせるか」を考える機会が圧倒的に増えました。そういった変化もあり、私も定量情報を見ることが増えました。ただ、単に数字に注目するだけではなく、定性的な「こういうことをした方がいい」というデザイナーの視点も組み合わせてコミュニケーションをとることは意識しています。

川井田:ぼくはチームマネジメントに加え、社内外へのブランディングを目的としたツールを制作することが増えました。特に印象に残っているのは、note社員の“虎の巻”ことカルチャーブックの制作。バリューを業務に落とし込んだ解説や、思考のエッセンスが詰め込まれています。

カルチャーブックも、言うなればnoteと社員との関係、社員同士の関係づくりの一環ですからね。ぼくら3名に限らず、noteのデザイナーに任される領域はすごく広くなってきていますね。

ー 業務領域の広がりは、noteの成長に比例しているのでしょうか?

川井田:自然発生的に広がってきている部分もあると思いますが、意識的に広げている部分もあります。ぼくらの仕事って、多角的な視点が求められます。

先ほどのプレゼントの例えだと、「どんなプレゼントを選ぶのか」以外に「どんなメッセージを添えるのか」「ラッピングはどうするのか」など、相手に喜んでもらうために考えうる要素はいくらでもあるわけです。視野を広げないと、その切り口すら浮かびませんからね。

noteデザイナー流“世界観”のつくり方

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ー 領域が広がっている一方で、それぞれが専門性を発揮されている印象を受けます。

川井田:noteが成熟しつつある状況で、デザイナーも専門分野に注力する変化が起きています。今後はサービスごとに専任がついていくでしょう。個人目標も「とにかく手を動かす」から「この分野をこれだけ成長させる」というものに変えていく必要がある。

沢登:個人的にはデザイナーという生き物は、自身が80点を出せる得意領域と、まだ30点しか出せないけど新しくチャレンジできる領域が共存している状態が望ましいと考えています。

デザイナー個人としても組織としても、目的が交差させられるポイントではないでしょうか。いまは、まだそこまで振り切れていませんが、各々が得意なことを発揮しつつやりたいことにももっと挑戦できるチームにしていきたいですね。

ー デザイナーとして、noteに関わるおもしろさとはなんですか?

松下:幅広いプロジェクトに関わって打席に立つ回数がとにかく多いので、経験値が積めることです。これまでお話したように、noteのデザイナーが担うべきは、機能面だけでも見た目だけでもありません。いまあるものをバランスよくブラッシュアップしていかなければいけないわけです。

その方向性を見出す嗅覚は、過去の事例集を見ているだけでは身につきません。信頼できる仲間に助けを求めたり、会社の風土と照らし合わせたりすることで、ようやく打開できると思います。

沢登:他社はプロダクトが複数あったり、組織が縦構造になっていたりするのですが、幸いなことにnoteはワンプロダクトで、しかもデザインチームの連携が多いんですよ。もっとくだけた言い方をすると、仲がいい。プロダクトに専念できる環境で、本質的なデザインを考えられるのは楽しいですよ。あとは、なによりも「世界観を考えられること」ではないでしょうか。noteには、実現したい世界がある。その世界観を考え、つくっていくのが、ぼくらデザイナーです。

ー 「世界観を考える」とは、具体的にはどういうことですか?

松下:まずは「こういう世界にしていきたい」と言葉にすることです。押しつけではなく、社内みんなの納得感と意識統一が大事だと思うので。

世界観の目線がそろったところで、「じゃあこういう工夫があった方がいいよね」というディスカッションが始まり、設計図を描いていきます。ただ、ここでも特に明確なゴールはありません。こういう地道な取り組みをひとつひとつ積み重ねて、少しずつ輪郭を形づくっていくイメージです。

川井田:noteのデザイナーにとって、きちんと言語化することはすごく大事なんですよね。言語化のために社内でワークショップを定期的に実施し、全社横断で「noteの人格」やチーム内で「理想のデザインチーム」についてディスカッションしています。

noteさんの人格の説明図。カフェの店長/優しく見守ってくれるなどが特徴

※2019年に作成した「noteの人格」。その後もワークショップを定期的に実施してアップデートを図っている。

世界観を考えるとき、雰囲気を出したり意思を示したりするだけではなく、行動を見せることも大事です。だから「今日の注目記事」の編集会議にデザイナーが参加して編集部に関する理解を深めたり、クリエイターに貢献するために「見出し画像」勉強会に登壇したり……。粒度はさまざまですが、自分たちが目指す世界を実現するために、考えられる施策はできる限り実行しています。

沢登:デザインチームのコミュニケーション量も多いため、世界観の話もよくします。プロダクトの話だけでなく、時事性も加味してプロダクト外の話をすることも多いので、世界観のブレストを常にやっているような感覚があります。

デザイナーの新たなチャレンジを、noteで

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ー noteの場合、忘れてはいけないのがCXO・深津さんの存在ですよね。デザインチームとはどういった関わりがあるのでしょうか?

松下:noteにおけるユーザー体験のガイドラインを策定したのが、深津さんです。私はPdMを兼任しているため、定期的にコミュニケーションをとるように意識しています。細かなところだと機能のレビューをしてもらいますが、もう少し本質的な部分で「そもそものガイドラインと合っているのか」「視野は狭くなっていないか」といったアドバイスをいただく機会が多いですね。

沢登:ぼくも頼れるときは頼っていますね。深津さんにレビューしてもらった方が良くなりそうなときは個別で依頼しています。

川井田:ぼくは細かいところも相談に乗ってもらいますが、どちらかというと「考え方のプロセス」みたいなところを相談に乗ってもらう機会の方が多いですね。特にデザインチームは深津さんとのコミュニケーションが他部署よりも多いので、徹底的に教わりました。教わったことは、できる限り社内に共有するようにしています。

ー 関わり方はひとによって異なりますが、深く相談に乗ってもらうこともできるということですね。最後に、どういう方であればnoteのデザインチームで活躍できるのかを教えてください。

川井田:デザイナーとして新たなキャリアにチャレンジしたい方にぜひお越しいただきたいですね。お話したとおり、noteのデザイナーは業務の幅が広く、かつ専門性が求められます。これまでデザイナーとして培ってきた経験やスキルを発揮しつつ、新たなチャレンジをしていく環境としてはこのうえないと自負しています。

また、デザイナーに限らずnoteには情報のインプットに貪欲なメンバーがそろっています。知識の習得に積極的な方、ぜひ扉を叩いてみてください。


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Text and Photo by 田中嘉人

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