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有志メンバーによるUXライティング向上。ひとつひとつの言葉で伝える「noteらしさ」への想い

下書きを保存したとき、記事がオススメされたときーー。noteでは、下記のようなポップアップが表示されます。

記事をオススメされたときや、下書きを保存したときやに出るポップアップの画像。「おめでとうございます!」「続きが楽しみです。」と言った文言が表示される。
noteが大切にしているユーザーへのメッセージ。
noteではクリエイターの創作活動を応援するために、さまざまな言葉を届けている。

現在、noteではUXライティングをさらに向上させるために、社内の有志メンバーが集まって行われている活動があります。その名も「UXライティングがんばり隊」。

この記事では、UXライティングがんばり隊のメンバーであるデザイナーの北島鮎 きたじま あゆさん、ユーザーコミュニケーション担当の金子智美 かねこ ともみさん、ディレクターの平野太一 ひらの たいちさんに取材。活動が始まった背景やUXライティングを大切にする理由をお聞きしました。


いきなり100点を取らなくてもUXは向上できる

——UXライティングがんばり隊とは、どのような集まりですか?

平野さん noteのサービスにおける、さまざまなUXライティングを改善していく有志の集まりです。サービス画面におけるひとつひとつの言葉遣いから、noteユーザーに届けるメール文面の細かなところまで改善点を見直し、よりよいユーザー体験を目指しています。参加メンバーは幅広く、UXライティングに興味や関心のある社員が集まっていますね。

平野さんの写真

平野 太一(ひらの たいち) / noteディレクター
1991年静岡県生まれ。関西大学経済学部卒業。
2013年10月よりウォンテッドリー株式会社にて、CS・編集・ライティング・撮影業務を経験。その後、2016年1月に株式会社BAKEへ転職し、ライティングや編集・撮影業務・BAKE CHEESE TARTのSNS運用に携わる。2018年10月より現職。


——有志の集まりということですが、どのような経緯で生まれましたか?

金子さん きっかけはCDOの宇野 うのさんと私の雑談でした。あるとき、何気ない会話の中で、私がUXライティングに興味を持っていて、サービスを考える上で重要だと思っていることを話したら、私のようなデザイナー以外のメンバーがそういう気持ちを持っているのは「会社にとってすごく大切だし、何か具体的な活動にしていきたい」と言ってもらって。

そこから2023年5月末頃に、宇野さんがこのプロジェクトを立ち上げてくれました。業務としてがっつり取り組むのではなく、部活動のような感覚で“やれるところから少しずつ”という意味を込めて、名前も“がんばり隊”です(笑)。


金子さんの写真

金子 智美(かねこ ともみ) / ユーザーコミュニケーション担当
エデルマン・ジャパンにてPRを経験した後、2009年に当時ネイバージャパン(現:LINEヤフー)入社。SNS運用やコミュニティ企画、社内のガイドライン作成などを担当。2020年4月にnote株式会社に入社し、ユーザーコミュニケーション全般を担当。note /X


平野さん 一気に100点には到達できなくても、1箇所ずつ改善して確実にユーザー体験を向上させたい。改善していく文言も、ABテストをするような「変えるべきかどうかの判断」が難しいものではなく、明らかに改善すべき点から着手するというスタンスで始まりましたね。

——それまでnote社のUXライティングは、どのような体制で取り組んでいましたか?

北島さん 以前は各チームが個別に取り組んでいたと思います。社内にUXライティングの専門部署や組織はなく、個々の意識は高いものの、共有や擦り合わせをする機会は少なかったですね。

北島さんの写真

北島 鮎(きたじま あゆ) / デザイナー
武蔵野美術大学 基礎デザイン学科卒業後、ベンチャー企業にてUIデザイン、グラフィックデザインなどを経験。2022年2月にnote株式会社に入社し、noteAIアシスタント機能を始めサービス改善や新機能のUIデザインを担当。


金子さん そうですね。noteというサービス自体が年数を重ね、リニューアルや新機能も増える中で、「横断的にUXライティングを見直す必要性を感じていた」というのも、今回の活動の背景にありましたよね。

——「UXライティングがんばり隊」発足後は、どのようにメンバーを集めましたか?

金子さん 「気になる人は参加してね」と、誰でも気軽に参加できるようにしていたこともあり、発足後は自ら手を挙げて参加してくれたり、声をかけたりして、徐々にメンバーが増えていきました。

平野さん 過去にもCXOの深津 ふかつさんが社内向けにUXライティング講座を開いていたこともあり、noteにはもともと関心の高いメンバーが多かったと思います。僕も以前からサービスのテキスト表現に興味があり、自分なりに情報や考えを社内wikiツールのGrowiにまとめていました。

サービス全体に「noteらしさ」を宿らせる

——そもそも、なぜUXライティングを大切にしたいと思ったのですか?

金子さん noteというサービスを選んで使い続けてもらうためには、ひとつひとつの単語や文章などに、「noteらしさ」を宿らせることが重要だからです。noteらしさがなければ、ユーザーは他のサービスを選ぶかもしれません。

平野さん noteらしさをサービス全体に宿すという考えは、僕たちが常に心がけていることです。社内では「noteさん」という人物像をつくり、noteらしさを人格化して、イメージを共有することも行ってきました。それでも年数を重ねる中で、noteらしさを表現する人が属人化してしまう危機感もありました。

今回の活動は、目の前にある言葉や表現を見直す中で、メンバーがnoteらしさを再確認する機会になるかもしれない。私たちが今後サービスを発展させていくためにも必要だと思いました。

北島さん デザイナーの視点でもUXライティングは欠かせないものですが、noteだからこそ力を入れたいと思っています。簡潔でわかりやすいマイクロコピーを考えるだけでなく、人とのつながりや言葉での寄り添いを追求し、ひとつひとつの言葉を練っていく。それこそが、温かく、やさしく見守るようなnoteらしさにつながると信じています。

——実際にどのような活動をしていますか?

金子さん プロジェクト開始後、すぐに改善できそうな部分を確認しました。その後各メンバーが具体的な改善案を持ち寄って議論し、実際に改善していくサイクルを繰り返しています。

平野さん すでに改善事例も生まれています。最初にリリースしたのは、記事に見出し画像を設定する際に表示される「テキストの調整」でした。

以前のテキストは少々わかりにくく、ユーザーが直感的に理解するのが難しかったんです。たとえば、「みんなのフォトギャラリーから画像を挿入」といった表現を見ただけでは、ユーザーは具体的に何ができるのか、何を選択すればいいのかが明確ではありませんでした。

そこで、ユーザー視点に立ち、迷わずに選択できる表現の検討をしていきました。改善後のテキストは「記事にあう画像を選ぶ」のように、すっきりしてわかりやすいものになったと思います。

Beforeの文言は「みんなのフォトギャラリーから画像を挿入」「画像をアップロードする」「Canvaで画像を作る」「Adobe Expressで画像を作る」の4つ。変更後は「画像をアップロード」「記事にあう画像を選ぶ」「Canvaで画像をつくる」「Adobe Expressで画像をつくる」の4つになった。
Before → After
記事に見出し画像を設定する際に表示されるテキスト

金子さん 他にもいま取り組んでいるのは、スキやフォローの通知メール文の改善です。これらは“うれしい通知”ですから、もっと気持ちが高まる表現にしたいと思っています。「この表現だとうれしさを感じないのはなぜだろう」「本当にこの表現でいい?」など、ひとつひとつ意見を出し合いながら議論していますね。

「うれしい通知」の表現を検討するために、メンバーが意見や感想を言い合う様子
ひとつひとつのテキストに対する各メンバーの意見や感想

北島さん メールの文面ごとに担当メンバーを割り振り、それぞれが改善箇所と改善案を持ち寄りましたね。たとえば、スキは「される」と表現するのがいいのか、「届く」と表現するのがいいのか。社内にいれば当たり前だった表現も、ユーザーにとってどう見えるかを捉え直す機会になっています。

平野さん メールを受け取る方はどんな言葉ならうれしいのか、何を望んでいるのかを考えることで、noteらしさを捉え直すことにもつながっていると思います。これまで無意識のうちに行っていたことを意識的に取り組むことで、相手の感じ方をさらに深く考えられている気がしますね。

金子さん 改善をしていくと、ひとつの改善をフォーマット化できることもわかってきました。そのため、あるメールで改善した表現は、他のメールにも応用できるように横展開しています。

UXライティングの力をつけるための第一歩は?

——プロジェクトを進める中で得たものや気づきはありましたか?

平野さん 異なる部署のメンバーが集まることで、プロジェクトが「noteらしさを共通言語化する場」になっていると感じます。はじめは各々が少しずつ異なる視点でnoteらしさを捉えていましたが、ひとつの言葉や文章について議論をするうちに、共通の価値観を擦り合わせられていると思いました。

金子さん 話し合う中で、よく「この表現はnoteらしくないよね」という意見が出ることもあります。そこから「どのあたりがnoteらしくないんだろう」「そもそもnoteらしさって何だろう」とみんなで考え直すので、自然と認識がそろっていきますよね。

インタビュー中の写真

——北島さんはデザイナーとして活動に参加する中で、どのようなことを感じていますか?

北島さん UXライティングはデザイナーのみが行う企業も多いと思いますが、この活動では職種や部署を横断してさまざまな意見をもらえるので、毎回新たな学びがあります。デザイナーの感覚では、なかなか気づけない考えや視点も得られました。

さらに、議論できる環境があることも大きいと思います。もともと私は、UXライティングに苦手意識がありました。活動に参加したのもそんな背景からですが、いまは自分が悩んでもこの場で相談できます。また他のメンバーと議論を重ねるうちに、自分の中にnoteらしさや表現の基準を築くことができました。この進歩は、私にとってかけがえのないものだと思います。

——同じようにUXライティングに注力していきたい方々に向けて、メッセージをお願いします。

北島さん やはり議論することは非常に重要だと思います。表現について多様な意見を交わすことで、表現の言語化や具体化が進むからです。UXライティングの力を高めるためには、同じようにこの領域に興味のある人を見つけて話してみるのがいいかなと。仲間が増えていけば“がんばり隊”になります(笑)

平野さん 同じ興味を持つ仲間を増やすためには、自分からUXライティングへの関心を発信することが大切かもしれません。僕も個人的にGrowiを書いていたことで、この活動に誘ってもらいましたから。

金子さん 「これからUXライティングを勉強したい」「いろいろ教えてほしい」というシンプルな発信でもいいですよね。社内でのちょっとした発言が、「実は私も」と共感する人とのつながりを生むこともあります。UXライティングの一歩目は、同じ想いを持つ仲間を見つけることかもしれません。


Text by 有井太郎 , Photo by 玉置敬大

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