レモンを叫ばせ、王騎将軍の矛を作り、マスターソードを家に置く。煩悩の数だけ空想を開発するエンジニアの話
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レモンを叫ばせ、王騎将軍の矛を作り、マスターソードを家に置く。煩悩の数だけ空想を開発するエンジニアの話

開発は、自由であり、アイディア次第で、なんでも作れる……。

そう思わせてくれるエンジニアに出会った。まずはその作品の数々を見てほしい。

断末魔レモン搾り器の画像

▲搾ると断末魔があがるレモン搾り器

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▲キングダムにでてくる王騎将軍の矛。なぜか先端にメッセージを表示させることができる

3Dプリンターで作成したマスターソードの画像

▲3Dプリンターで作成したマスターソード。抜くときにライフが減る音がする

[Alexandros]の[ ]に囲まれることができる装置の画像

▲いつでも[Alexandros]の[ ]に囲まれることができる装置

▲こちらは漕いでる間だけYouTubeが見られるエアロバイク。欲しい


見るだけで笑える。素晴らしいの一言。

開発した入江さんに話を聞くと、「SNSなどでバズらせるため」ではなく「自分が実現したいと思ったから開発している」「漫画やアニメのアイテムが現実にあったらどうなるのか知りたい」と語る。根っからのクリエイターだ。

誰かに使ってもらうのが目的ではなく、誰かに依頼されたわけでもないのに、なぜこのようなものを趣味で開発し続けているのか。インタビューをして深堀りしてみることにした。

入江さんの自己紹介スライド。出身:福岡県 現在地:鎌倉 フロントエンドエンジニア 趣味:歴史、アイドル、野球観戦、なんかつくること

出典 Wikipedia(制作者 宇治主水さん)

ハッカソンで優勝を勝ち取った「断末魔レモン搾り」

― 入江さんはいろいろな作品を開発されていますよね。その中でも思い出深い作品はありますか?

チェーン居酒屋が主催のハッカソンで作った「断末魔レモン搾り」は思い出深いです。名前のとおりレモンを搾ると断末魔を聞くことができます。

この作品はハッカソンで優勝ができたうえに、その後に応募したヒーローズ・リーグというコンテストでも賞をとることができました。

断末魔レモン搾りの画像

▲レモンを搾ると断末魔があがり、LEDライトが光る。そして登録した電話番号に「I'll Be Back」というメッセージが飛んでくる。おもしろすぎる

▲実際の動画がこちら


― ちょっと待ってください…!いきなり情報量が多い(笑)そもそもどうやってアイディアは思いついたのでしょうか?

居酒屋が主催のハッカソンだったので「せっかくなら居酒屋で使えるものをつくろう」というところからアイディアは始まりました。

そこから「レモンを搾ったら叫ばせよう」「派手に光らせよう!」「搾ったあとにメッセージが来たらおもしろそう!!」と機能をどんどんつけました。かなり盛り盛りです。

― 断末魔というワードが薄くなるくらい機能を盛っていますね(笑)技術的には何を使っているのでしょうか?

ジャイロセンサーと圧力センサーをつけて、レモンを押したときと回したときに音が出るようにしています。ハッカソンでtwilioが自由に使用できたため、node.jsからAPIを利用してメッセージを飛ばしています。

制限時間のあるハッカソンなので難しいことはしませんでした。優勝できたのは、技術よりもアイディアの勝利だったのかなと思います。簡単に作れたうえにウケてよかった。

断末魔レモン搾りのシステム図

― アイディア自体がおもしろいですし、触ったひとの笑った顔が想像できますね……!

断末魔レモン搾りのおかげで知り合いもかなり増えました。イベントなどで「あの搾り器を作ったひとですよね」と声をかけてもらえるようにもなったため、つくってよかったなと。

インタビューに答える入江さんの写真

▲おもしろいできごとを「コンビニでパンを買いました」くらいのテンションで淡々と語っていく入江さん

▲断末魔レモン搾りのプレゼン資料はこちら

知っているけれど現実で体験したことがないものを作りたい

― 他に自身の作品で好きなものはありますか?

キングダムという漫画にでてくる王騎将軍の矛は満足のいく出来でした。持ち手の部分は物干し竿を使い、先端は3Dプリンターで出力しました。さらに矛からメッセージを出せるようになっています。

3Dプリンターで制作した王騎将軍の矛の先端の画像

▲先端は3Dプリンターで出力

物干し竿として使われる王騎将軍の矛の画像

▲棒の部分は物干し竿なので、洗濯物を干すこともできる

王騎将軍の矛に「ここの実装今日中にお願いします」とメッセージが表示される

― なぜメッセージを出せるように……?

王騎将軍の矛は漫画の中でも重要なアイテムで、深い歴史や背景があります。元々、この矛は自分のためにつくったので、ステークホルダーは自分だけ。特にメッセージ性はありません。矛の先端にM5StickCを付けてメッセージを表示できるようにしたことで、ステークホルダーとして他のひとも巻き込めるようになるのでは?と思ったんです。

― 納得できるようなできないような気はしますが、筋は通っていますね(笑)そもそもなぜ矛を作ろうと思ったのでしょうか?

王騎将軍の矛をもらうシーンが大好きで、読んだあとの勢いで自分もほしいなと(笑)ものを作るときに「漫画やアニメのものが現実にあったらどうなんだろう?」というのは発想の源の一つでもあります。

― 他にもそういった発想で作ったものはあるんでしょうか?

どうぶつの森で、家具としてゼルダの伝説のマスターソードがあるのですが「部屋にマスターソードを置くってどういうことだ?」と思って作ったことがあります。

「知っているけれど現実で体験したことがないこと」を自分の手で作ってみたくなるのかもしれません。

3Dプリンターで作成したマスターソードの画像

▲引き抜こうとするとライフが減る音がする(ブレスオブザワイルド仕様)

― 作ること自体がモチベーションになっているんですね。

そうですね。作っているときが楽しくて、完成した瞬間がテンションのピークです。そのあとは「ああ、こういう感じね」ってだんだんと冷めていきます(笑)だから、作り終わったらすぐに新しいものが作りたくなりますね。

― 自分の楽しみのために作られているんですね。逆に、誰かのために作るというのはあまりないんでしょうか?

ほとんどありません。作ったものを使ってもらったり、LTで発表することはありますが、基本は自分のためです。

[Alexandros]というバンドの[ ]を現実で体験できる装置は、自分しか背負うことができない設計ですし(笑)

[Alexandros]の[ ]に囲まれることができる装置の画像

▲入江さん自身しか使うことができない[Alexandros]のCDジャケットを体験できる装置

おもしろい開発をするのは「コスパがいい」から

話している入江さんの写真

― おもしろいものを作るようになったキッカケは?

大学は工学部とデザインを合体させたような感じのところで、初めは映像制作やモデリングをやっていました。ただ、どれも思ったよりも難しくて自分には合いませんでした。そこで「プログラムでも書くか」という消去法のような形で始めたのがキッカケです。

― 最初はエンジニア志望ではなかったんですね。

アイドルが好きなのもあって秋元康に憧れており、パンフレットの説明に「プロデューサー」と書いてある大学に入っただけなので。

― 意外に計画性はなかったんですね、なんだか安心します(笑)そこからどのように開発を続けるようになったのでしょうか?

「プログラミングはコスパがいいな」と思ったのは理由として大きいかもしれません。

― コスパ?

パソコンのカメラを使って「自分の顔がだんだんジョンレノンになりながらイマジンが流れる」というものを作りました。難しいことはやっていないのに、大学の友人にこれがすごくウケて。このアプリは周りから「himagine」と呼ばれるようになっていました。

― アイディアを聞いただけでおもしろい(笑)

映像制作やモデリングはどれだけ頑張っても、自分が納得のいくものにするまでのゴールは遠い印象がありました。しかし、プログラムはアイディア勝負ができるうえに周りの反応もいいから「コスパがいいな」と思いました。

― アイディアを実際に実現するのがすごいですよね。作るときには設計はしているのでしょうか?

頭の中でなんとなく考えていますが、詳細な設計はしていません。調べて実現できそうであればとりあえず作る感じで。

― プロトタイプのようなデモはつくる?

プロトタイプほどのものではないですが、アイディアをより削ぎ落としたもので確認はしています。それが、おもしろくなかったらそもそも作りません。

― 小さくつくって試しているんですね。

仕事やハッカソンで色々と失敗をして、小さくつくった方がいいことは学びました。大きく作りすぎて「ちょっと違うんだけど」と言われて手戻りが発生したことも過去に多々あります。モックでいいから体験してもらって軌道修正した方が、全体のコストも低いですから。

目標は「煩悩の数だけ作品をつくる」

― これから作ろうと思っているものはありますか?

今は、石を作っています。

微笑んでいる入江さんの写真

― 石……?

ああ、うん。なんかヤバいやつだと思われそうですね。ちゃんと説明します(笑)石の上にも3年って言葉があるじゃないですか?

― ありますね。

あれって実際にやったらどうなるんだろうと思って。

― なるほど。

本物の石だと重いし改造するのが難しいので、発泡スチロールの上にセメントを貼り付けて石を作りました。上に乗っている時間をカウントして、3年経ったらなにか起こるみたいな仕組みにしようかなと。

石の上にも3年の画像

― これも最高におもしろいアイディア……!

ダジャレや言葉遊びも開発したくなるアイディアの一つです。まだ最後まで開発するかはわかりませんが、つくる予定ではいます。

― 他にもやっていきたいことはありますか?

スライドを見ながら話す入江さんの写真

直接の開発ではない話ですが、作ったものを記録してまとめていきたいとは思っています。その一環として、自分のnoteで「煩悩の数だけつくったものを紹介するマガジン」を始めました。

― おお、noteとも相性がよさそうな取り組みですね。

今までは、作って満足してしまっていました。情報がまとまっていないといざというときに取り出せなくて不便ですし。とりあえず煩悩の数だけは作ってまとめていきたい。

― 勝手な想像ですが、入江さんはこれからも変なものを作り続けていくんでしょうね……!

自分が実現したいものがある限りは作り続けていくと思います。ただ、もし誰かが自分の想像を実現してくれるなら僕が作らなくてもいいかなと。

― 意外です。自分で作ることを大事にしているのかと。

自分で作るのも楽しいですが、自分と同じようなものを作ってくれるひとがもっと増えたらいいなとは思っています。そのひとが作ったものを見てみたいですし。noteに入社したのも「クリエイターを増やす」ということを一つの目標にしている会社だというのも大きな理由です。

― 入江さんの話を聞いていると、まさに「クリエイター」という感じがしました。やはり普段から創作を意識して生活しているのでしょうか?

うーん、創作を意識しているというよりかは、すべてが勉強だと思うようにしています。開発するのも、Netflix見るのも、遊ぶのも、すべてが勉強で尊いのでは?と思っています(笑)

― サボっている時間が多い自分にとっては心が軽くなる一言です…!ありがとうございました。

入江さんの写真



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Text by megaya

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