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2021年春、noteビジネスチームの現在地

noteのビジネスチームを立ち上げてから、2021年春で1年半が経ちました。

こんにちは。note株式会社・執行役員で法人部門責任者の坂本洋史です。

私がnoteに入社したのが、2019年7月。ビジネス担当の1人目として参画しました。それまでのnoteは、エンジニアとデザイナー、そしてクリエイターを支援するnoteディレクターで構成される会社でした。

当時は、ちょうどサブスクリプション型の法人向けメディアSaaS「note pro」をローンチして間もないタイミングということもあり、note proを事業の軸に想定しつつ、他企業とのアライアンスも推進していく予定でした。

ところが、実際に入社してみると待ち受けていたのは想定外のことだらけ。この1年半は怒涛の日々でした。今回は、私が駆け抜けてきた1年半を振り返りつつ、note法人部門の現在地、そしてこれからについてお伝えします。

想像以上に埋もれていたビジネスチャンス

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坂本洋史(さかもと・ひろふみ)/執行役員
新卒でアスキー入社。週刊アスキーWeb版の副編集長として、メディア開発・運営責任者を経験。その後、アマゾンジャパンのウェブプロデュースマネージャー、プロジェクトマネージャー(人材開発)などを担当。2019年7月にnoteへ入社。2020年3月より現職。note proの事業開発、アライアンス、人事組織制度構築などを推進。 note:https://hirofus.work/

まず、入社後に直面した“想定外”の正体からお話しさせてください。それは、想像以上にビジネスチャンスが埋もれていたことです。

当初はサブスクリプションビジネス、つまりnote proの立ち上げと成長に尽力する予定でしたが、「それ以外にも、もっとやれることがあるぞ」と確信しました。

そこで視野に入れたのは、コンテストとイベントの事業化です。

コンテストとは、noteのクリエイターに向けてコンテスト形式で作品を募集する企画のこと。企業協賛のもと、審査員の方に評価を依頼して、優秀作品を選出するというnote内の催しです。

入社前は、noteの街を盛り上げる打ち上げ花火的な企画だと思っていたのですが、それだけでなく、クリエイターの活躍の場を広げるという大きな意味もあることに気がつきました。

まず、コンテストの企画運営に必要な原資を協賛企業からいただくことで、質を高めるためのリソースを確保できます。さらに、noteで活躍しているクリエイターに審査員を依頼して、みなさんが投稿の参考にできるようなお手本作品を執筆いただく謝礼もお支払いできる。

ということは、コンテスト自体を増やしていけば、クリエイターの活躍の場も比例して増えるし、企業とクリエイターのつながりも生まれていきます。そして、noteにもきちんと収益が入ってくるというモデルができる。つまり、クリエイター・クライアント・note、三方よしの事業なんです。

もうひとつは、イベント。noteでは、クリエイターとファンの方を集めてイベントを開催していました。テーマや登壇者も多様で、ときには当時note社に常設されていた100人程度のイベントホールが満員になり立ち見が出るほど。内容によっては、ゲストとして企業の方が登壇するといったこともありましたが、いずれも単発の企画でした。

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2019年もありがとうございました!#note感謝祭 レポートより

しかし、じつはこうした集客力のあるイベントであれば企業からの協賛を募ったり、共催を実現できれば、収益化を図っていける可能性がある。収益を原資にイベントの質を高めていけば、クリエイターに大きな価値を提供できるチャンスでもある。それが、まだそこまでうまくまわっていなかったので、もったいない状態でした。

当時、イベントはnoteディレクターが企画から開催当日のオペレーションまでのすべてを手がけていましたが、本来の彼らの業務はnoteのクリエイター支援です。noteディレクターからイベントの運営にまつわる業務を切り離すことができれば、本業に専念して、クリエイターに質の高いサービスを還元できる。クリエイターがすてきな作品をつくれば、noteはますます盛り上がっていく。そう考えると、イベントの専任チームを置くほうがnoteにとっては圧倒的にメリットがあるわけです。

そこで、「コンテスト」、「イベント」、そして「note pro」の三本柱で法人事業をグロースさせていくことにしました。

法人部門を構成する3つの事業と4つのチーム

では、現在の法人部門で3つの事業を手がけるチームをそれぞれ紹介させてください。

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まず、note proから紹介します。note proを担当するB2Bチームは、THE MODEL型の組織とオペレーションで構築されていて、セールスとカスタマーサクセスがいます。

セールスは、note proに興味を抱いている企業への提案活動がメイン。単純に商品をご紹介するだけではなく、導入課題をヒアリングして目的の明確化や運用体制のコンサルティングまで幅広くケアしています。また、法人向けのセミナーも手がけている点が大きな特徴です。カスタマーサクセスは、契約後のサポート業務やユーザーコミュニティの運営を担当します。note proを活用して情報発信する企業にとって、一番の課題は「継続」。そのためのネタ出しや運用体制の構築、記事の書き方まで幅ひろくサポートすることが重要です。

現在、note proは幅広い用途で使われるようになりました。B2Cプロモーション、B2Bプロモーション、採用広報、デジタルコンテンツ販売、官公庁や公共機関の情報発信など多種多様です。

そのなかでも比較的多い用途は「採用広報」ですね。SmartHRさんやベーシックさんをはじめ、多くの企業で導入いただいています。ありがたいことに、2020年にはnote proが「HRアワード2020」を受賞。企業と個人が区別なくフラットに情報を届けられるnoteの雰囲気と会社からの公式発信以外にも社員の声をまとめられるオウンドメディアとしての機能が、カルチャーマッチを重視した採用広報のツールとして認知されたと言えるでしょう。もちろん、採用広報以外での利用も続々と増えていますので、企業の情報発信基盤として伸びしろが非常に大きな事業です。

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続いては、コンテストチームについて紹介します。そもそもコンテスト自体はnoteディレクターが属人的に回していましたが、オペレーションが交通整理され、事業会社のマーケティング担当者や広告業界出身者も入社しました。いまではnoteディレクターと分業したプロジェクト型チームを組んで、営業やプロジェクトの進捗管理、売上管理は法人部門側で、コンテストの企画やお手本作品をつくるクリエイターの選定・依頼・フォローなどはディレクター側で担当しています。

また、コンテストの問い合わせ窓口を設置したり、ワークフローも整えたりと、企業もクリエイターも創作を通じて幸せになれる機会をさらに増やしていけるようにしています。

そして、イベントチームは、まだまだ0→1のフェーズです。200名以上を収容できるイベントスペース「note place」を2020年6月につくったのですが、新型コロナウイルスの影響で想定していた使い方をするには難しい状況が続いています。そこで、まずはライブ配信を強化する方向に舵を切ることにしました。配信に必要な専門機材や専任チームも増強し、2020年は100回以上もライブ配信イベントを開催しました。ライブ配信のムーブメントには充分乗っていける状況だと思っています。noteが開催するイベントの意味づけや、ワークフローの効率化、収益モデルの安定化などはこれからのチャレンジですね。

最後に、忘れてはいけないのが、いま紹介した3つチームのどれにも属さない、事業開発系のチームです。このチームは、事業を推進するためにまだ形になっていない仕事をととのえるためのチームです。

具体的な事業開発の業務は、ナショナルブランドや広告代理店と一緒にクライアントニーズに合わせて、note pro、コンテスト、イベントの3つを連動させた大型企画を手がける「商品企画」。業務改善やシステム導入などの仕組み化をして、法人部門のみならずnote社全体のスピードアップと効率化を手がける「オペレーション企画」。そして、それぞれのビジネスの社会的な認知を高めていくための広告やイベントを企画し、セールスにつなげる「マーケティング」のメンバーがいます。その他、適切な担当者やチームが社内に存在しないが、誰かがやらなければならない仕事をする「なんでも屋」的な立ち回りも求められます。ブラックボックス化していたコンテスト周りのマニュアル化を推進したのも事業開発の「オペレーション企画」のメンバーです。

法人部門で活躍する人材の共通項

そしていま、本当に少しずつですが、軌道に乗りはじめました。

イベントはまだまだ0→1のフェーズですが、note proとコンテストは0→1のフェーズを終えました。特にnote proに関しては、昨年対比で2020年の成長率は7倍以上。1→10のフェーズと言ってよい段階に来ています。note pro契約企業同士のコラボレーションによって新しい企画が生まれたり、noteのクリエイターが企業の企画で登用されたり、自治体や行政機関での利用が広がったり、文藝春秋とはnote proの利用から資本業務提携にもつながったりと、数字以上の成果が出始めています。

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noteの法人部門で活躍するために大切なのは、当社のバリューである「クリエイターファースト」を体現するため、数値目標を達成する過程でクリエイターを犠牲にするリスクがあるのなら「やらない」と言い切れるかどうか。

これは、簡単なことではありません。でも、だからこそ、「顧客のために働いている」という感覚を得られるし、クリエイター、企業、そしてnoteの“三方よし”の喜びも感じられる。何より自分自身にとって大きな成長機会となるはずです。

たとえば、note proチーム。KPIは、他のSaaSモデルの会社とおなじく基本的には契約件数です。しかし、メンバーには、常々「数字は大事だが、数字のためにクリエイターに迷惑をかけたり、誇大表現をしたりしないでほしい」と口酸っぱく言っています。

普通の会社であれば、セールス担当者は売上と利益率を考えて、顧客とコミュニケーションを取ればOKかもしれません。しかし、当社の場合は自分自身がnoteの世界観を理解したうえで、顧客企業にも理解を促していく必要があります。これまで「売上重視」でやってきた方にはもしかしたら適応が難しい部分かもしれません。

企業がnoteを使う目的はさまざまですが、最終的なゴールは共通していて、伝えたいメッセージを伝えたい顧客に届け、関係構築をして自社の事業につなげていくことです。メッセージを発信し続けて届けるという意味では、個人とひとしく企業もクリエイターだと当社では捉えています。企業にも長期的な視点でnoteを活用していただく必要があります。

すぐに商品やサービスへの問い合わせ数が増えたり、記事がバズって話題になったりするようなことをKPIにすることはおすすめしていません。わかりやすい成果を示すのが非常に難しいため、担当者が決裁者に納得いただけたり、社内に味方が増えたりするようなストーリーを一緒に考えなければいけません。

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必要なのは「定性と定量のバランス感」。定性、つまりnoteの世界観やミッションへの理解と、定量、つまり数字や売上へのこだわりを両立させることです。

はっきり言って、難易度は高いと思います。しかし、いまの日本で、ミッションドリブンで関われる、希少な会社ではないでしょうか。

もちろん裁量もスピード感もあります。これまで前例がないことでも、Slackで私や代表の加藤にメンションを飛ばして、やりたいことを書いてもらえれば、すぐに判断します。大方針が握れたら、現場の裁量でどんどん進めてもらって構いません。多くのクリエイターや企業の注目と期待を集める、noteだからこそ得られるものがきっとあります。ぜひチャレンジしてみてください。


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Text and Photo by 田中嘉人

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